埼玉新聞

 

ニトリ国内最大級の物流センター誕生で首都圏カバー 大手が続々進出する圏央道“幸手IC”周辺 なぜ熱視線

  • 圏央道(右奥)の幸手IC周辺で建設が進む大型物流センター(左)=幸手市神扇

    圏央道(右奥)の幸手IC周辺で建設が進む大型物流センター(左)=幸手市神扇

  • 【地図】幸手市(背景白)

    圏央道の幸手ICがある幸手市

  • 圏央道(右奥)の幸手IC周辺で建設が進む大型物流センター(左)=幸手市神扇
  • 【地図】幸手市(背景白)

 圏央道の幸手インターチェンジ(IC)周辺地区に大手企業の進出が相次いでいる。幸手ICに隣接する「幸手中央地区産業団地」で、ニトリホールディングスの大型物流センターや大成建設グループの次世代技術研究所が2024年度に操業を開始する予定だ。対面する神明内地区ではJA全農による施設園芸トレーニングセンター「ゆめファーム全農」の整備構想も進む。圏央道の久喜白岡ジャンクション(JCT)―幸手IC間が3月末に4車線化され、交通渋滞が解消されたこともあり、市は「利便性向上により産業集積や誘致に有利に働く」と地域活性化に期待を寄せている。

■交通利便性が優位に

 「幸手中央地区産業団地」は、圏央道沿道への産業集積を図る県の基本方針に基づき13区画が整備され、現在11区画で12社が操業し、来年度中に建設中の大型物流センターと次世代技術研究所も工事終了の予定だ。

 同市財政課によると、同団地の整備により、21年度の固定資産税は29億7600万円と操業前に比べ約3億円増。同課は「景気に左右されない財源の柱として強い基盤となる」と新規操業による財源増を重要視する。

 ニトリホールディングスで国内最大級となる物流センターは、首都圏と上信越地方をカバーする物流拠点となる。大成建設グループの次世代技術研究所は、国内初のゼロカーボンビルとなる研究管理棟を整備するほか、脱炭素化や道路関連技術の実証実験などに取り組む方針で、市民向け施設見学の開催も検討しているという。

■地域活性化の起爆剤に

 同市によると、同団地にJA全農が計画するトレーニングセンター(約16ヘクタール)では、高収量を実証するほ場「ゆめファーム」で確立された技術や経営のノウハウを活用し、新規就農者に2年間の研修を実施する構想だ。

 和栗肇副市長は「従業員として200人程度の地元採用を見込んでいると聞く。雇用促進のほか新規就農者や移住者の増加など地域活性化の起爆剤になる」とまちを挙げて取り組む考えを示す。地権者からも「借地契約となるため、先祖代々の土地を他人に譲渡せず、農地を有効活用できる」と歓迎する声も上がっている。

 木村純夫市長は「圏央道のアクセス向上による産業活性化や雇用創出の影響は大きい。都市間競争ではなく連携により全体の活性化につなげたい」と話した。
 

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