埼玉新聞

 

SNSきっかけ、女児誘拐事件を実例に指導 県警、加須の小学校でネット上のトラブルに注意喚起

  • インターネットの安全な利用方法を解説する「あおぞら」の警察官ら=5日午前、加須小学校

 冬休みを迎える前に、子どもたちの防犯意識を高めようと、県警少年課は5日、加須市立加須小学校で、インターネットセキュリティー教室を開催した。女性警察官による非行防止指導班「あおぞら」が、同校の5、6年生162人にインターネットの安全な利用方法を解説。「個人情報や写真を載せない」「知らない人とはやりとりしない」など、インターネット上で起こるトラブルや事故を防止するための注意喚起を行った。

 会員制交流サイト(SNS)をきっかけに、児童や生徒が犯罪に巻き込まれる事態が後を絶たない。10月に大阪市で行方不明となった小学6年生の女子児童が栃木県小山市で保護され、未成年者誘拐容疑で男が逮捕された。県内でも同月、本庄市の男が短文投稿サイト「ツイッター」を利用し、さいたま市と兵庫県の中学生の少女2人を誘拐し、浦和署に同容疑で逮捕された。

 教室では今回の誘拐事件などを実例に上げ、「インターネットやSNSに個人情報を載せると、さまざまなトラブルに巻き込まれることがある。投稿前には必ず、この書き込みは大丈夫か、この情報は信じていいのかなどを自分でよく考え、困った時は保護者や警察にすぐに相談してほしい」と呼び掛けた。

 県生徒指導課が2018年度、県内の公立小学校6年生約2万人に実施した調査によると、自分専用のスマートフォンを所有している小学生は32・3%に上る。16年の23・1%、17年の26・5%から年々増加。SNSを利用する際、いじめられたり、トラブルにあったりした経験がある子どもは4・9%で、そのうち7・2%は知らない人から「会おう」と誘われた経験がある。

 加須小6年の大谷美成さん(12)は、親と話し合い高校生になるまではスマホを持たないと決めているという。教室に参加し、「どうしたら、被害者にも加害者にもならずに、安全にネットを楽しめるのかを改めて学ぶことができた」と充実した様子だった。

 同校の松永修校長は「インターネットの正しい活用法は、小学生の段階からしっかり指導していくことが大事。引き続き、保護者と意思疎通を図りながら、子どもたちが事件に巻き込まれないように、しっかりと見守っていく」と話していた。

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