埼玉新聞

 

所沢中1自殺、教職員の配慮や連携不足を指摘…第三者委が報告書 市教委が謝罪「再発防止に努める」

  • 会見する所沢市教委の出居正之学校教育部長(左)と戸村達男同次長=13日午後、所沢市役所

 所沢市で2017年7月に自殺した市立中学1年の男子生徒=当時(13)=を巡り、いじめと認定した第三者委員会の調査報告書が13日、公表された。調査報告書は問題の背景に教職員の配慮や連携のなさを指摘している。市教育委員会は同日、市役所内で会見し、「尊い命を救うことができず、おわび申し上げる」と謝罪した上で、「調査報告書を踏まえ、再発防止に努める」とした。

 会見には出居正之学校教育部長と戸村達男同次長が出席した。報告書が公開されるまでの経緯説明が行われた後、「尊い命を救うことができずおわび申し上げる」と謝罪した。「今後調査報告書を踏まえ、一人一人の心に寄り添った教育を進めるとともに教員の指導力向上、子どもたちのSOSを受け止めるシステムの構築、教職員の感性を高める教育に取り組み再発防止に努める」とした。

 調査報告書とともに公開された所見の中で両親は、担任について「担任であり部活副顧問、委員会も一緒のベテラン教師がいじめを見抜けなかったとしたら、教師としての資質を疑わざるを得ません。いじめがクラス内に蔓延(まんえん)した責任は担任にあると思っています。適切な処分を切に願います」と訴えている。

 担任だった女性教諭は現在も他の中学校で教壇に立っているといい、女性教諭への指導については「至らない点があれば指導している。一人一人に沿った指導をするようにと指導している」とし、処分について市教委は「今後検討する」とした。

 調査報告書では、教職員同士の情報交換が適切に行われていなかったことが指摘されていたが、市教委は「調査報告書を受けて改善に努め、アンケートなどを実施した後すぐに情報共有をし、方針を定め共通理解の下で対応している」と説明した。

 男子生徒が自殺した中学校では翌年にも中1の男子生徒が自殺する事案が発生し、第三者委が調査している。今年7月には、中2男子生徒が同級生に殺害される事件が起きている。市教委は「教員の資質向上に取り組んできたが、功を奏していないことは受け入れるべきで反省して今後も取り組んでいく」とした。

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