木村拓哉さん映画でも登場の町中華“栄華” 魅惑のチャーハン、ラーメン タワマンそびえる街で放つ存在感
タワーマンションが林立する所沢市の市街地。その谷間に広がる一角で、赤色の看板の店構えが存在感を放つ。「中華料理 栄華」だ。のれんをくぐる。赤色のテーブルに、丸形のいす。褐色の壁と相まって「昭和」の風景が隙間なく広がっている。
福岡県出身の店主、東原孝さん(88)が1965年に始めた。元は洋菓子職人として、大宮駅近くの洋菓子店に勤務。クリスマスのケーキやカステラなどを作った。「何かをやろう」。そう考えて「厨房(ちゅうぼう)やガス、釜があればできる」と選んだのが中華料理店だった。
腰を据えた所沢は、大宮から東京都内の親戚を訪ねる際に通った街だ。「オープン前は昼間に洋菓子を作り、夜には中華料理店でアルバイト兼見習いとして味を覚えた」と東原さん。同じ福岡出身の妻初子さん(74)と店を切り盛りしてきた。
東原さんが念頭に置くのが「私の味」だ。例えばチャーハン。米や野菜、さらには卵や肉が軽妙な鍋さばきで調理されていく。八角形の皿の上でおたまを開けると、半円球形の一品が現れる。「加工品の味になってしまうから」とハムなどは使っていない。「自然の味」へのこだわりからだ。
所沢のご当地料理「ところざわ醤油(しょうゆ)焼きそば」にも力を入れる。地元産のしょうゆを麺に絡め、ふんだんに野菜などを投じる。麺の上には目玉焼きが二つ。すっきりとしたしょうゆの味わいと野菜の甘さが、次の一口を誘引する。
店舗は木村拓哉さん主演の映画「検察側の罪人」で、ロケに使われた。奥深い昭和の趣は、文化の発信地にもなっているようだ。
【主な人気メニュー】
チャーハン(生野菜サラダ、スープ付き)550円、ラーメン400円、タンメン550円、餃子(ギョーザ)250円、マーボー豆腐650円、ところざわ醤油焼きそば650円など。
【メモ】
中華料理 栄華(えいか) 所沢市御幸町2の15(電話04・2922・7926)。営業時間はおおむね午前11時ごろ~午後9時ごろ。不定休。アクセスは西武線所沢駅西口から約600メートル。