埼玉新聞

 

あれから45年…諦めない 川口で田口八重子さん写真展 拉致被害者らの救出求める署名活動も 3日まで

  • 拉致被害者の一刻も早い救出を訴える署名に、訪れた市民が応じていた。机の下の写真は佐々木悦子さん(左)と田口八重子さん(右)=6月30日、埼玉県川口市立中央図書館

    拉致被害者の一刻も早い救出を訴える署名に、訪れた市民が応じていた。机の下の写真は佐々木悦子さん(左)と田口八重子さん(右)=6月30日、埼玉県川口市立中央図書館

  • 拉致被害者の一刻も早い救出を訴える署名に、訪れた市民が応じていた。机の下の写真は佐々木悦子さん(左)と田口八重子さん(右)=6月30日、埼玉県川口市立中央図書館

 JR川口駅前の埼玉県川口市立中央図書館で田口八重子さん=当時(22)=ら北朝鮮による拉致被害者や拉致被害が疑われる特定失踪者らの救出を求める署名活動が6月29日から3日までの5日間にわたり行われている。同時に田口さんの写真展も開催されている。

 田口さんは川口市出身。幼い子2人を育てながら都内の池袋駅近くの飲食店で働いていた1978年6月29日、子どもを保育園に預けたまま失踪。その後、北朝鮮による拉致被害者と分かった。

 図書館玄関ホールで署名活動をしていた八重子さんの兄、本間勝さん(79)は「八重子が拉致されてから今年で45年。八重子も67歳になった。私たちはただ待っているだけで年を数えている。しかし、諦めてはいない。救出運動を応援してくださる人々につくづく感謝したいと思います」と話した。

 特定失踪者の一人で91年4月に、浦和の銀行へ出勤すると言って家を出たまま失踪した佐々木悦子さん=当時(29)の母、佐々木アイ子さん(89)は「救出活動は進展がない。今年もこれで終わるのなかと思う。でも毎日、朝晩に、玄関を開けて悦子が帰ってくるようにお祈りをしている。少し気が休まる。悦子は川口女子高校(当時)へ自転車で通っていた。しっかりした子だった」と話した。

 図書館に出入りする市民が時々募金や署名に立ち寄った。市内に住む会社員鮫島晶子さん(50)は「八重子さんの兄の飯塚繁雄さんも亡くなり、家族の方には時間がないことを思うとお気の毒です。もう少し国がなんとかできないのかと思います」と話した。

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 ほかに川口市の特定失踪者とされるのは、71年12月に失踪した電気工事士の井上克美さん=当時(21)、76年2月に失踪した東京学芸大学1年生の藤田進さん=同(19)、77年5月に失踪した銀行員新木章さん=同(29)がいる。

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