埼玉新聞

 

ふるさと納税でサクラの木再生へ カビに侵食、数年後に枯れる…現状を全国に発信、新座市が取り組み

  • 樹齢60~70年でカビなどに侵食されており、「あと数年で枯れる」と診断を受けた池田小学校の「ヤマザクラ」(新座市提供)

 新座市は、昨年の台風で倒木するなど老齢期を迎えている市内の小、中学校のサクラの木を再生させようと、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで全国から寄付を募っている。

 同市は昨年12月24日から、「ガバメント・クラウドファンディング(GCF)」=トラストバンク(本社・東京都目黒区)運営=を実施している。目標額は220万円で、期限は3月23日までの3カ月。市は「小、中学校の桜を守り育てて、子どもたちのオアシスを残していきたい。桜満開プロジェクト」と命名した。寄付金は挿し木や植樹、整地作業などに使用。目標額に達しなくても、寄付金は同プロジェクトのために活用する。

 市内小、中学校計23校はいずれも創立50年以上が経過し、校庭などに植樹したソメイヨシノの木は老齢期を迎え、新堀小学校では昨年9月の台風で2本が倒木。池田小学校の校庭にあるヤマザクラ1本(推定樹齢60~70年)は「カビに侵食され、数年後に枯れる」と診断されている。

 こうした中、市は市内のサクラの木の現状を全国に発信し、子供たちのサクラを守るための寄付を効率的に募ろうと、同プロジェクトを立ち上げた。GCFの返礼品は市内寄付者の場合、池田小学校児童らの手紙やヤマザクラの写真、市外寄付者は市内の特産品など通常の返礼品を贈る。

 GCFは自治体がプロジェクトオーナーとなり、関心や共感を呼ぶプロジェクトを立ち上げ、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで資金を募る。同社が2013年9月にサイトを提供し、19年末までに655超のプロジェクトを実施。寄付金は総額60億円を超えている。

 同サイトによると、県内の自治体では鴻巣市が「メキシコ花火の再現」、さいたま市が「国際芸術祭の開催」でGCFを実施したほか、北本市が今年1月末まで、「雑木林のドングリハウス」と「商店街の交流拠点」のプロジェクトに取り組んでいる。

 新座市は「返礼品競争ではなく、本来のあり方に根差して寄付を募ることができる。寄付者にとっては自らの寄付の使い道が明確になり、寄付が役に立っているという実感につながる」と協力を呼び掛けている。

 同プロジェクトのアドレスは「https://www.furusato-tax.jp/gcf/753」

 問い合わせは同市シティプロモーション課(電話048・424・4686)へ。

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