さいたま国際マラソン、今年は見送り…巨額の負担、有力選手が少ないなど指摘も 大会自体は継続の意向
五輪や世界選手権の女子代表選考会として実施されてきた「さいたま国際マラソン」が、今年12月に予定されていた次回の開催を見送ることが22日、分かった。
日本陸連、埼玉県などとともに大会を主催するさいたま市の清水勇人市長は同日の定例会見で、次回開催について「現時点では何かを申し上げられる段階ではない」と明言を避けた。
大会を巡っては、市の財政負担や、全日本実業団対抗女子駅伝と時期が近い上に、コースに起伏が多く好記録が出にくいため、有力選手の参加が少ないことが指摘されていた。
さいたま国際マラソンは、1979年に始まった東京国際女子マラソン、その後継大会として2009年から開かれた横浜国際女子マラソンを受け継ぎ、15年11月15日にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナを発着点とするコースで第1回大会が行われた。
昨年12月8日の第5回大会はフルマラソン「代表チャレンジャーの部」など4部門で競われ、「一般男女の部」の市民ランナーら約1万6千人が参加した。
市は今年度、「さいたま国際マラソン開催事業」として、第5回大会開催に約2億5千万円を負担している。市議会ではたびたび、巨額の負担を巡り、改善を求める指摘が出ていた。
さいたま市はこれまで、毎年春にハーフマラソンの「さいたまシティマラソン」を開催していた。13年8月には検討委員会が設置され、市誕生15周年を迎える16年度までに、同大会をフルマラソン化することを目指してきた経緯がある。
清水市長は定例会見で、大会について「スポーツ振興、スポーツを通じた地域振興につなげようと実施し、大きな意義を果たしている」とこれまでの開催意義を強調。
その上で「スポーツは市のまちづくり、成長戦略の重要な要素。その中で(大会を)より価値のあるものとしていきたい」とマラソン大会自体については継続開催したいとの考えを示した。
実施するか、しないかを含め、次回開催についての明言を避けた理由について、清水市長は来年度予算が編成中であることに加え、「(大会は)主催者5者で連携して協議している。今は決定して公表できる段階にない」と説明。
市民やランナーに向けては「シンボルとなる事業の必要性は、これからも変わるものではない」と述べ、協議が整い次第、今後の方針について公表する意向を示した。