維新の初議席「無効」に…埼玉県議選・南1区の中村氏 「同じ市町村に3カ月以上連続居住」の規定満たさず
埼玉県選挙管理委員会(岡田昭文委員長)は14日、4月の県議選で初当選した日本維新の会の中村美香氏=南1区、草加市=について、被選挙権の要件である居住実態を満たしておらず、当選は無効であると発表した。維新が県議会で初めて獲得した議席だった。
県選管の決定書では、中村氏の生活の本拠が、昨年12月26日から1月31日までの37日間は三郷市内に、2月1日から選挙期日の4月9日までの68日間は草加市内にあったとし、県内の同じ市町村に3カ月以上続けて住んでいなければならないとする規定を満たしていないと結論づけた。
中村氏の主張では、実母および妹と居住していた東京都内から、昨年10月2日に実父とその妻が住む三郷市内に生活の本拠を移した後、新たな居住先が決まったことから、12月26日に同市内の別の住宅に転居。実父の家に居住実態があったかどうかが争点だったが、県選管の担当者は「電気・水道・ガスの使用量や銀行口座の出金記録などから総合的に判断した」と当選無効に至った経緯を説明した。
中村氏は14日、自身の交流サイト(SNS)に「県選管による当選無効決定の件、ご心配おかけして申し訳ない。私に議席を与えて下さった有権者の方々の気持ちを考えると心苦しい。日本維新の会の党本部とも協議し、来週以降に本件の説明や今後の対応をご報告させていただく」と投稿した。
当選無効の決定は7月18日付の官報に掲載され、不服がある場合は30日以内に限り高裁に提訴できる。当選無効が確定すれば、次点で立憲民主党公認の小森克己氏(48)が当選者となる見通し。
今回の決定を受け、日本維新の会県総支部(高橋英明代表)は「有権者および関係者の皆さまにご心配をおかけし、心よりおわび申し上げる。決定内容を精査し、本人および党本部とも協議して迅速に対応方針について検討する」とコメントを発表した。
県選管によると、1995年以降の県議会選挙における異議申し立ては3件(票の点検が1件、違法な選挙運動が2件)でいずれも棄却されている。