埼玉新聞

 

<川口いじめ>母は精神的に不安定…市教委文書に元生徒の母を中傷する記述 母が批判「悪質、責任転嫁だ」

  • 母親に関する不適切な表現がある市教委の報告書

  • 文部科学省が開示した関連文書(手前)と県教委が開示した文書

 川口市立中学校に入学以来、部活のサッカー部でいじめを受け、不登校や自傷行為につながったのは学校や市教委の不適切な対応が原因だとして、元男子生徒(16)が訴えている問題で、元生徒や母親の情報開示請求に対して、文部科学省が市教委の報告書など文書396ページを開示したことが7日、分かった。元生徒側によると、報告書には「母親は精神的に不安定な要素が多分にあり」などと中傷する表現が記述されていた。

 新たに明らかになった市教委の文書について、母親は「母親に原因や問題があったとし、自らが適切な対応をしなかったことの責任を私たち被害者に転嫁している。虚偽の報告もあり、意図的で悪質。被害者に寄り添うどころか、被害者をさらに傷つける行為で悲しい」と批判している。

 開示されたのは川口市教委からの報告書や、元生徒や母親に対する対応の経過についての市教委が県教委や文科省に提出した報告書などの文書。元生徒らは「この中で虚偽や不適切な表現が見つかった」と指摘する。

 17年1月26日付の市教委指導課名の「報告」では、元生徒が2年生の2学期の9月に自傷行為を起こす直前の状況について「夏休みに、母親とサッカー部保護者との間でトラブルがあり、それがきっかけに、母親が1年生の頃のいじめを学校に申し出た」と記述した。

 母親は「保護者同士のトラブルはなかった。あたかも母親に問題があったという書き方だ」と反論している。

 また、同じ報告書で「当該母親は、精神的に不安定な要素が多分にあり、学校及び市教委のこれまでの対応に全て不満を抱いている」と記述していた。

 18年11月22日に開示請求し、同省は柴山昌彦大臣名で今年1月25日付で開示決定を出した。元生徒らは2月5日に同省で文書を受け取った。

 これまで、元生徒らは18年1月5日にいじめ重大事態に関する全記録の開示を市教委に開示請求したが、市教委は第三者によるいじめ調査委員会に関するものは非公開とすると説明し、ほとんどを開示しなかった。一部開示した文書に誤りがあるとして元生徒らは訂正を申請したが、訂正に応じていない。

 元生徒側は県教委に対しても、市教委からの報告書などの開示を請求。県教委は計453ページの文書を開示している。

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