埼玉新聞

 

客13万人!人気ウニクスの映画館オープン1年、ショッピングモールも206万人に増 タリーズコーヒーなど好調

  • ユナイテッドシネマ前の広場でイベントが催され、利用客でにぎわうウニクス秩父=22日、秩父市上野町
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    ユナイテッドシネマ前の広場でイベントが催され、利用客でにぎわうウニクス秩父=22日、秩父市上野町

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 ユナイテッドシネマ「ウニクス秩父」が秩父市上野町にオープンし、29日で1周年を迎える。地域住民らの要望を受けて、29年ぶりに秩父地域に復活した映画館には年間約13万人が来場。運営会社が開業時に定めた目標来場者数に達した。2009年から営業を続けるショッピングモールの利用客も増加傾向にあり、映画と買い物客の相乗効果で2年目以降も売り上げ向上が期待できる。

 同シネマは、ウニクスなどの商業施設を開発するピーアンドディコンサルティング(さいたま市大宮区)と、複合映画館を運営するユナイテッド・シネマ(東京都品川区)が共同で開業。敷地面積約8600平方メートルの棟内には、7スクリーン約650席の映画施設などが備わる。

 ピーアンドディコンサルティング取締役の山本喬さん(44)は「映画興行の好調も後押しし、若者や子連れの方の利用が目立っている」と説明する。昨年から今年上半期にかけて、邦画アニメなどの作品がヒットし、国内の映画館入場者数はコロナ禍から回復基調に向かっているという。

 映画施設の客足増加は、ショッピングモール全体の活性化につながる。ウニクス秩父の7月現在のテナント数は、シネマ開業前から7店増えて計28店舗。去年7月から今年6月末までの映画施設以外の利用客数は206万人で、前年同期に比べ約9%増加した。

 映画館開業と同時期に改装した、コーヒー店「タリーズコーヒーウニクス秩父店」は、売り上げが前年比50%増と顕著に伸びた。店内が広くなり、上映の待ち時間に利用する家族連れや、ワークスペースとして活用する一人客が増えている。

 土日祝日などは、同シネマ前の広場で地元事業者による特産市や、子ども向けアトラクションなど多数のイベントが開催され、にぎわいを見せている。「市や地域の方の協力もあり、開業1年目は順調な滑り出し」と山本さんは手応えを語る。

 「映画館を作ってほしい」との要望は、ウニクス秩父が買い物客を対象に実施したアンケートや、市が開催した地元高校生との意見交換の場などで多数寄せられた。市は19年に工場誘致条例を一部改正するなど、映画館の誘致活動を積極的に推進。シネマ開業後は、秩父地域の小中学生らに映画割引券を配付するなど、映画利用を積極的に勧めている。

 秩父地域は過去に計12カ所の映画施設が存在したが、70年代に相次いで閉館した。人口減少が続く地域での新規事業展開は集客力が課題だが、同社は2年目の目標来場者数を前年より上げ、13万5千人とした。

 同シネマの商圏は、秩父郡市と東秩父村の計約10万人。山本さんは「シニア世代の方にもリピーターになっていただけるよう、往年のヒット作や懐かしの映画も定期的に上映して、地域経済活性化に貢献していく」と話した。
 

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