【部活どうなる(10)ラグビータウン】熊谷の中学ラグビー部に限界あり…新クラブ誕生、生徒夢中どんな指導
部活動の地域移行を見据え、新たな活動が県内で始まっている。
「オー、オー、オー!」。中学生たちの元気な声が響き渡る。熊谷市立熊谷東中学校の体育館。2021年4月に発足した中学生ラグビークラブ「熊谷ホットウイングスラグビーフットボールクラブ」だ。中学生が真剣なまなざしで、パスやタックルなどの練習に汗を流した。
市内中学校ラグビー部に所属する生徒ら約50人が所属している。高い技術や戦術の習得、市内各中学校のラグビー部全体の実力底上げを目指す。練習は毎週水曜の夜に同校体育館、毎週日曜の午前中には熊谷ラグビー場がある熊谷スポーツ文化公園で実施している。
参加する中学生の意欲は高い。男子生徒(15)は「試合に勝つための練習を真剣にやっている」と語り、別の男子生徒(15)も「部活とは空気感が違い、一人一人が練習に向き合いながらやっている」と話した。
19年のラグビーワールドカップ(W杯)の会場の一つにもなった熊谷は「ラグビータウン」として知られる。小学生までを対象とする「熊谷ラグビースクール」があるが、中学校でラグビー部が存在するのは16校のうち5校のみ。ラグビー部がある中学校でも専門的な知識を持つ指導者が不在だったり、部員不足で単独チームが結成できない部もある。
クラブを立ち上げたのは代表の橋本圭介さん(60)。同市出身で、県立熊谷工業高校や日本体育大学でラグビーに励み、大学卒業後は高校教諭となり、現在は県立桶川高校に勤務する。普段は柔道部の顧問も務めるが「中学生は3年間で大きく変わり、急激に成長するので、この年代を教えるのは面白い」と語る。
市内には国体予選で25年ぶりに優勝した県立熊谷高校に加え、関東大学ラグビーリーグ戦1部の立正大学、ラグビーリーグワンの初代王者埼玉パナソニックワイルドナイツが活動拠点を置き、各カテゴリーでラグビーチームがある。
橋本さんは「誰からも愛されるクラブとして、将来的には地域の部活動の受け皿になりたい。いつかは熊谷で生まれ育ったトップ選手を輩出できれば」と話していた。
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