埼玉新聞

 

台風19号きっかけで絆 さいたまと佐野の常盤中が交流会、同じ校名で心も一つに サプライズな合唱も

  • 佐野常盤中学の生徒による感謝の歌の披露=18日午後、さいたま市浦和区

 さいたま市浦和区の市立常盤中学校(山下誠二校長)に18日、栃木県佐野市立常盤中学校の全校生徒40人が訪れ、同名校による交流会「虹のプロジェクト」が行われた。さいたま常盤中学校が佐野常盤中学校の校歌をサプライズ披露するなど、初めて会った両校の生徒は心を一つにして絆を深め合った。

 両校の交流が始まったのは昨年10月の台風19号がきっかけ。佐野常盤中学校の学区が甚大な被害を受けたことを知ったさいたま常盤中学校が「同名校として何かできないか」と、生徒会主体で支援活動を開始。PTAや後援会が募金活動を行い、千羽鶴とともに佐野常盤中学校へ届けた。

 その後はビデオレター交換やテレビ会議での会話、校長の相互訪問などで交流を深めてきた。

 両校の取り組みは、雨上がりに現れる光の架け橋のように、固い絆で結ばれることを願って「虹のプロジェクト」と名付けた。

 少子化の影響で佐野常盤中学校が2022年度をもって閉校することに伴い、今回の交流会が企画された。

 会ではさいたま常盤中学校吹奏楽部が演奏を披露。その後はお互いの市の祭りや、学校の特色を出し合うクイズも行われ、正解するたびに体育館は大きな歓声に包まれた。

 フィナーレの校歌斉唱では、さいたま常盤中学校の全校生徒882人がサプライズで、佐野常盤中学校の校歌を大合唱。お礼として、佐野常盤中学校が感謝の歌を心を込めて披露した。

 佐野常盤中学の加藤莉央生徒会長(14)は「皆さんの温かい出迎えに感動した。こうして出会えたことは奇跡的なこと。今後も交流を続けたい」。

 さいたま常盤中学の伊藤亜芽生徒会長(14)は「台風被害で苦労している人もまだ多くいると思うので、今後も私たちができることを支援し、力になっていきたい」と絆をさらに深めていくことを誓った。

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