<知事選>現職の大野元裕氏、再選果たす 2新人に大差 投票率、全国ワーストを更新…1、2、4、6位が埼玉
任期満了に伴う埼玉県知事選は6日投開票され、自民、公明、立民、国民、維新5党の各県組織の支持を受けた現職の大野元裕氏(59)が、共産公認で党県委員会書記長の柴岡祐真氏(39)と無所属で音楽制作業の大沢敏雄氏(69)の2新人を大差で破り、再選を果たした。
低迷が懸念された投票率は23・76%と過去最低を更新。前回(2019年)を8・55ポイント下回った。
1期目の4年間は豚熱や台風などの水害、新型コロナウイルス感染症対応と、危機管理に昼夜を問わず飛び回った大野氏。各政党や団体から多くの支持を集め、「ワンチーム埼玉で乗り越えられない危機はないと強く確信した」とウイングを広げた選挙戦を展開した。
選挙戦では各党から県選出国会議員、県議・市議・町議が応援演説や駅頭活動に駆け付け、ペーパーレスの推進や全国に先駆けた産・官・金・労による「価格転嫁の円滑化に関する協定」の締結など実績をアピール。大きな転換期を迎えている埼玉において、未来への礎を築くことの重要性を説いてきた。
再選を決めた大野氏は、「63市町村を回り、一人一人に政策を訴えるのが私にできるただ一つのことだった。有権者の声を聞き、時には一緒に写真を撮り、本当に何にも代えがたい17日間だった。思いを新たに、知事として県政を前に進めていきたい」と述べた。
告示6日前に急きょ出馬を表明した柴岡氏は、「自民党と一体化する大野県政を許すわけにはいかない」と現職批判を展開。給食費の無償化や国保税の引き下げなどを公約に掲げた。応援に入った共産の小池晃書記局長(参院議員)は、「国の悪政から県民を守る県政を」と呼びかけたが、及ばなかった。
大沢氏は環境・騒音問題への意識からポスター掲示や拡声器を使わず選挙戦に臨み、県職員の働き方改革や知事給与カットなどを訴えたが、知名度不足が響いた。
■大野元裕氏
【略歴】(1)埼玉県知事(2)参院議員、防衛大臣政務官(3)国際大大学院(4)川口市(5)さいたま市浦和区
【公約】(1)少子高齢化に対応するまちづくり(2)経済の持続的発展(3)不断の行政改革(4)あらゆる人が輝く共存社会の実現
※略歴は(1)肩書(2)主な経歴(3)最終学歴(4)出身地(5)現住所―の順。埼玉新聞調べ
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6日投開票された埼玉県知事選の投票率は前回(2019年)の32・31%を8・55ポイント下回り、23・76%だった。11年に全国の知事選でワーストを記録した24・89%を更新し、全国の知事選で過去最低となった。
知事選の投票率は、衆院選と同時に行われた00年の59・19%を除き、低迷が続いている。全国ワースト記録は1、2位に埼玉県が並び、3位は千葉の25・38%(1981年)。4位は埼玉県の26・63%(2015年)、5位は広島県の27・14%、6位に埼玉県の27・14%(07年)と続く。ワースト6のうち埼玉県が四つを占めている。
市部の投票率は23・25%、町村部は30・80%だった。
当日有権者数は607万7006人(男301万2864人、女306万4142人)。