埼玉新聞

 

伝説の道誕生へ熊谷でラグビーW杯企画 ラグビーロード6万2300キロ走破に挑戦、1万7千人の協力必要

  • 世界地図を手にラグビーロードランニングチャレンジをPRする臼杵健さん

 9~10月にラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の3試合と、大会直前に日本代表の壮行試合が行われる熊谷市。玄関口の熊谷駅と試合会場となる県営熊谷ラグビー場とを結ぶ約4キロの県道「ラグビーロード」(愛称)などを走り、その合計距離で熊谷と出場7カ国を地図上でつなぐ「ラグビーロードランニングチャレンジ」が昨年末から始まっている。W杯開幕までに6万2300キロの走破にトライ。発起人の臼杵健さん(42)は「ラグビーロードを世界に発信して、伝説の道にしたい」と意気込んでいる。

■楽しく世界一周

 「出発します」。1月27日午前11時、臼杵さんが営む熊谷市筑波のベーグル店「ウスキングベーグル」前の歩道。合図とともに、トレーニングウエアに身を包んだランナーたちが、寒風に逆らって北を目指す。目的地は3・7キロ先の熊谷ラグビー場だ。

 この日は月1回、一緒にラグビーロードを走る「みんなで走ろう会」の初日。会員制交流サイト(SNS)などで告知したところ、市内外から10人が集まった。全力で走る参加者もいれば、子どもの手をつないで歩く母親も。それぞれのペースでW杯に続く道を踏みしめる。

 ランニングチャレンジは熊谷を発着点にロシア、ジョージア、南アフリカ(壮行試合対戦国)、サモア、アルゼンチン、ウルグアイ、アメリカの順に各国の首都を巡る「バーチャルな世界旅行」(臼杵さん)。1人1回ラグビーロードを走ると仮定した場合、目標達成には約1万7千人の協力が必要となる。

 「W杯を盛り上げるため、毎日10キロ走りたい」。深谷市の会社員中島あゆみさん(24)は声を弾ませる。熊谷で昨年7月、国内最高気温を5年ぶりに更新する41・1度が観測されたことにちなみ、「2倍の82・2キロ」を自身の目標に掲げる地元の会社員岡野一大さん(46)は「みんなで楽しく世界一周できれば」と笑顔をみせた。

■友好の懸け橋に

 W杯では1試合2万人以上の観戦客が見込まれている。熊谷駅から徒歩で会場に向かう人は主にラグビーロードを通るが、旧称の「さいたま博通り」を変更し、昨年4月に命名されたばかりで、まだ定着していない。「沿道の店舗として、ラグビーロードを歩く人を増やしたい。そのためには認知度を上げる必要があった」。臼杵さんはランニングチャレンジの企画理由を語る。

 「ラグビーに興味や接点のない人にもW杯を感じてもらえたら」と間口を広げた。徒歩や自転車、車いすなど「自力での移動」なら何でもOK。区域もラグビーロードに限定せず、好きな時に好きな場所で取り組める。たった1メートルでも構わない。 

 参加方法は「ラグビーロードランニングチャレンジ」のハッシュタグを付けて、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムに走った距離を投稿するだけ。それを毎週集計して「チャレンジマップ」に反映させる。地域のマラソン大会などでも協力を呼び掛けていくという。

 ハッシュタグは7カ国の言語にも対応している。「ランニングチャレンジを通じて友人になった外国人とW杯で実際に会い、『ようこそ、熊谷へ』と歓迎するのが夢」と臼杵さん。友好の懸け橋として、もう一つのラグビーロードを世界地図に描く。

ツイート シェア シェア