こだわり抜いた印刷技術、世界にも評価 戸田の印刷会社のカレンダー、ドイツの展覧会で金賞 日本では銀賞
スクリーン印刷による出版物やポスターなど付加価値印刷を手掛ける熊沢印刷工芸(戸田市、熊沢豊社長)の2020年グラフィックカレンダーが「ドイツグレゴリーインターナショナルカレンダーアワード(ドイツ国際カレンダー展)」で金賞、「第71回全国カレンダー展」(BtoB向け企業カレンダー部門)で銀賞を受賞した。受賞作には、動物イラストレーションに植毛加工など同社のこだわり抜いた印刷技術を詰め込んだ。
全国カレンダー展に入賞した62点がドイツ国際カレンダー展に出品され、日本で金賞を受賞したのは同社1作品のみ。熊沢社長は「日本だけでなく世界にも評価されてとてもうれしい。社員の励みになり印刷技術の向上につながる」とダブル受賞を喜んでいる。
同社オリジナルのグラフィックカレンダー制作への取り組みは、熊沢社長が「スクリーン印刷を多くの人たちに知ってもらいたい」という思いと「若い社員の目標になれば」と昨年6月から始めた。「かわいらしく、見たら欲しくなるカレンダーを」というコンセプトに、20年以上前から交流があり、3年前の個展で制作協力した札幌市在住の彫刻家、五十嵐威暢氏(75)の動物イラストレーションを採用。整数比、グリッドといった規則性を重視した作画方法で、定規とコンパスによって描かれた作品だ。
ライオンの毛並を表現するために3ミリの3種類パイルを混合したフロッキー(植毛加工)プリントを表紙に配置。ゾウは、皮膚の感触に似た凹凸を表現し、クジャクはスクリーン印刷ならではの蛍光ピンクの発色が鮮やかに映え、カニの緑から青への刷りグラデーションは手刷りだ。イラストと印刷の迫力を出そうとB2判のサイズにもこだわり、全7枚が昨年10月に完成した。
「デザインはシンプルだが、印刷技術は難しくアナログ的な良さも表現できた」と熊沢社長。「今年も挑戦し印刷技術を高めていきたい」と話す。
全国カレンダー展は、1950年から日本印刷産業連合会主催し、デザイン力や企画力、印刷技術や機能性に優れたカレンダーを公開している。毎年入賞作品は、ドイツ国際カレンダー展に出品され、今回は世界各国から650点以上の応募があった。欧州最大の展覧会で、世界的にも評価が高いという。