埼玉新聞

 

華麗な技、支える「銘木店」 空手指導の縁で「板割り」の試割板販売 「個性見極め適材適所」 杉戸銘木店

  • 「(試割板の)急な大量受注も取りこぼさない体制を取っている」と話す塩野谷功一社長

    「(試割板の)急な大量受注も取りこぼさない体制を取っている」と話す塩野谷功一社長

  • 初心者から上級者まで使用できるよう厚さ7~60ミリまでのバリエーション豊かな試割板を用意

    初心者から上級者まで使用できるよう厚さ7~60ミリまでのバリエーション豊かな試割板を用意

  • 「(試割板の)急な大量受注も取りこぼさない体制を取っている」と話す塩野谷功一社長
  • 初心者から上級者まで使用できるよう厚さ7~60ミリまでのバリエーション豊かな試割板を用意

 室内の内装に使用する高品質の用材を取り扱う埼玉県杉戸町の「杉戸銘木店」。ケヤキやヒノキ、ウォールナットなどその数は数百種類に及び、店舗や住宅の床の間や天井、テーブルをはじめ神社仏閣などに納めてきた。現社長の塩野谷功一さん(45)の祖父が東京都の木場で創業。独立した父親が同町に店を構え48年になる。塩野谷さんは「顧客のニーズに合わせ、木材の個性を見極めて適材適所に生かす」と専門職としての技能に胸を張る。

 伝統的な和風建築や床の間がある和室が少なくなる中、銘木の取り扱い量も大幅に減少。「たたき売りされている状況も見られる。銘木を扱える知識人が減少し、伝統的な日本文化の衰退にもつながる」と危機感を表す。無垢(むく)材は、断熱性や調質作用、樹木特有の香り成分によるリラックス効果など人間の健康維持に有効な作用を及ぼしていることを挙げ、ほかの建築資材と比べ環境負荷が小さく、環境適合性に優れたエコマテリアルであることを強調する。

 業界環境が厳しさを増す中、空手を指導している縁で、7年ほど前から大会の演武などで使用する試割板の販売を始めた。自社でしっかり自然乾燥させた国産杉の板を使用し、割れやすく迫力ある音が出るのが特徴だ。さらに持ち手の人が保持しやすく狙いが広くなるよう幅広の仕様に製材。表裏上下が一目で判断できるよう焼き印を押すなど、空手指導者かつ木材業者ならではの工夫を凝らしている。

 今では各道場や学校などのほか、極真空手道連盟極真館の公式大会でも使用されるようになった。「自ら立ち上げたこの新規事業をどれだけ成長させられるか挑戦したい」と意気込みを見せる。

■所在地

 杉戸町下野942―1▽電話0480・34・1536

ツイート シェア シェア