埼玉新聞

 

<新型肺炎>スーパーの商品買い占め…外出自粛に県民「今は戦時下」「商品なくて困る」「もっと早くして」

  • 人々が行き交う大宮駅前=さいたま市大宮区錦町

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、外出自粛要請を打ち出した東京都に歩調を合わせて埼玉県も26日、今週末の不要不急の外出を控えるよう県民に呼び掛けた。日々刻々と変わる情勢に県民からは理解を示す一方、仕事や生活面での戸惑いの声が聞かれた。

 県内の事務所に勤務するさいたま市北区の会社員30代男性は「都内の従業員は既に明日からの在宅ワークが決まっている。営業の仕事をしているので、得意先に行けなくなってしまうのではないか」と心配した。

 子どもを連れて買い物をしていた川口市の30代女性は「今月に子どもが卒園したが、校内放送だけで式が終わってしまい、園児たちがかわいそうだった」と振り返り、「外出できずに家にいると、親も子もストレスがたまる一方」と声を落とした。

 さいたま市浦和区の30代女性は「外出自粛は必要だと思うが、せめて1週間前に知らせてほしい」と訴えた。「今のうちに買い物に行きたいが、スーパーに行っても商品が買い占められていて、品数が少なくて困る」とこぼした。

 川口市の70代女性は「今週末までなら問題ないが、来月にパートで都内に行く予定だから、期間が延びると困る。不要不急と言われても、仕事だからしょうがない。外出自粛は少し無理があるのではないか」と不満を募らせていた。

 東武東上線川越市駅前で、仕事で川越を訪れたという都内に住む会社員男性(60)は「今は戦時下と考えている国もあるほどだから、やむを得ないのではないか。会社の生産工場が各地にあるので行動を規制されてしまうと仕事にも影響が出てくる」と話した。

 駅から降りてきたマスク姿の女子高校生(17)は「外に出ないという対策はまあまあ理解できる。感染が広がらないためには仕方ない。私は都内にあまり行かないけれど、よく遊びにいく友達もいるので心配」と話していた。

 数十年来、趣味で絵画を描いている、さいたま市中央区の小国守弘さん(83)は都内で絵画教室を主宰し、定期的に電車で通っていたが、「都内がコロナで大変な時期。特に私たち高齢者は感染したら命の危険につながる。今は人の多い場所には行けない」と警戒する。外出自粛を受け、「出掛けるのも近所への散歩くらい。買い物も混んでいる時間を避けて、あとは自宅で我慢するしかない」と話した。

 草加市無職、池島庸介さん(71)は「当然の措置だろうね。日本は気が緩み過ぎていると思う。景気や経済を考えても早く収束させなければ」と理解を示した。

 春日部市の飲食店経営長島真理子さん(52)は「今頃に外出自粛を要請されても、という感がある。なぜもっと早く指示が出せなかったのか。マレーシアの友人から『日本は対策がぬるいが大丈夫か』と言われた。外出自粛要請と緊急経済対策による景気刺激策とでは相反することを実施している。逆に不安をあおられている感じがする」と話した。

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