埼玉新聞

 

<新型肺炎>スーパーに来店客急増 多くの商品籠にレジに長蛇の列 スーパー側、落ち着いた行動を呼び掛け

  • 店内の米売り場では断続的に品薄となり、店員が補充を繰り返していた=27日午前、さいたま市内の食品スーパー

 埼玉など各県が28、29日の不要不急の外出自粛の要請をしてから一夜明けた27日、県内のスーパーには食料品などを買い求める来店客が急増した。レジには多くの商品を買い物籠に入れた来店客が長蛇の列を作った。スーパー側は「商品の生産が止まるなどの状況は考えづらい」として、買いだめに走らず落ち着いた行動を呼び掛けていた。

 開店時間が午前8時のさいたま市内の食品スーパー。25日の東京都が要請した週末の外出を自粛する呼び掛けの影響もあり、26日の食品の売り上げは、米や保存可能な食品が伸び、木曜日の平均を1・7倍上回った。27日は通常の金曜日の3倍に当たる約60人が開店前から入口に並んだ。

 店内にある10台以上のセミセルフ形式のレジには断続的に20~30人が長蛇の列を作った。買い物籠やカートに冷凍食品、インスタント麺、缶詰、米といった食料品やトイレットペーパーなど30点以上が詰め込まれた。購入品が手持ちのエコバッグに入り切らず、有料レジ袋を買う人も多く見られた。店員も売れ筋の米やトイレットペーパーの補充などに駆け回った。

 さいたま市西区の無職男性(70)は自宅の米を切らして来店し、インスタント麺など含め30点を購入した。目的の米は買えたが、店員が繰り返し補充している様子を見て、買いだめ需要が身近に起きていると実感。「落ち着いて必要な物だけを購入する姿勢が大切ではないか」と話した。

 同市中央区の主婦(42)は高校2年の長女(17)と来店。週末に向けて野菜や肉など生鮮品やトイレットペーパーなどを購入したが「キッチンペーパーが売り切れていた。他の店で探す」と品切れ商品があったことを残念そうに語った。「不安に駆られ、必要な分以上の量を買い込んでいる人が多いと思う。外出自粛要請に過剰に反応し過ぎているのではないか」と述べた。週末は安全面を考慮し家族と一緒に自宅で過ごすという。

 取材に応じた食品スーパーの店長は週末の来店予想が難しいとしつつも、商品の品ぞろえに万全を期す姿勢を強調。「現時点で多くの商品で在庫も多く、生産が止まったり流通が滞る状況は考えにくい。お客さまには落ち着いた対応での買い物をお願いしたい」と訴えた。

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