埼玉新聞

 

<新型肺炎>特製弁当やイチゴの販売、飲食店や農園の応援が活発化 秩父一丸で奮闘、まとめて購入も

  • 業態変更で居酒屋からパン店に生まれ変わった店内=16日、秩父市宮側町の「ベーカリーズキッチンオハナwithわんちゃか秩父店」

 新型コロナウイルスによる影響が拡大する中、秩父地域で飲食店や農園を応援する取り組みが活発化している。マルシェでワンコインの特製弁当やイチゴが販売され、まとめて購入する動きも。新たに業態を変更する店舗も出てきており、地域一丸で難局を乗り越えようと奮闘している。

■助け合いで

 「お弁当です」。17日午前、秩父市熊木町の市歴史文化伝承館。市内の飲食店から弁当が届けられた。市職員は市内で開催されている「コロナに負けるな!助け合いマルシェ」に協力し、ワンコイン弁当をテークアウト販売する飲食店からまとめて購入してきた。計4回で693個(34万6500円分)を購入している。

 同マルシェ参加店や参加店以外で配達やテークアウトを始めた飲食店と、配達やテークアウトを利用したい地域住民をつなぐフェイスブックグループ「秩父の配達&テイクアウト飲食店情報共有グループ」も開設。17日午前11時現在で、約740人がグループに参加しているという。横瀬町でも16日から同マルシェと同様の取り組みが始まった。

■居酒屋からパン店

 新たに業態を変更する店舗も出てきた。14日に秩父市宮側町にパン店「ベーカリーズキッチンオハナwithわんちゃか秩父店」がオープン。わんちゃかは元々居酒屋だったが、新型コロナウイルスの影響で、売り上げが大幅に減少し、同市や本庄市のグループ店舗8店が休業になった。

 同オハナは本庄市の本庄本店や深谷市の道の駅はなぞの店などに加え、関東で店舗を展開し、人気を集めている。同オハナを展開するグリーンルームの久保田浩司社長(59)はわんちゃかなどを運営するウィズ・アペックスの吉岡伸也社長(49)と懇意にしていたため、久保田社長が吉岡社長に「うちのパンを売ってみろ」と提案したという。

 秩父店には名物の「塩パン」など30種類以上を販売。午前11時から営業し、なくなり次第で終了となるが、連日好評を呼んでいる。市内から同店を娘(13)と訪れた女性(36)は「オハナのパンのファンだったので、近くにお店ができてうれしい。また買いに来たい」と笑顔を見せた。

 久保田社長は「秩父の人は本庄本店や道の駅はなぞの店によく来てくれていた。遠出が難しくなったので、近くの秩父店で購入してもらえれば」と語った。吉岡社長も「企業としての社会的責任もあるので、従業員を守りたかった。人とのつながりの大切さを改めて感じた」と話した。

■果実の転用

 小鹿野町両神薄にある「大平戸農園」は、全国の生産者に栽培した果物を廃棄しないように呼び掛けている。同農園は果物をジャムやジュース、フルーツソースに加工している。果物の果汁をあめ玉に加工することもでき、綿菓子機械製造メーカーと果物の果汁を使う「フルーツわたあめ専用綿菓子機」も開発した。

 果物は加工することで期限が延び、流通もしやすくなるメリットがあるという。同農園の大谷紀浩社長(42)は「果物の加工はこれまでずっと続けてきていたが、まだまだ知らない人もたくさんいる。果物を加工品にして少しでも売ってもらい、生産者の力になれれば」と話していた。

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