埼玉新聞

 

<新型コロナ>空調のフィルターでウイルス対策 川口の会社が研究所新設、汚れ監視するシステム開発へ

  • 空調設備のシステム開発進める

 大型施設の空調設備に取り付けるフィルターの製造や洗浄を手掛けるユニパック(川口市)は専門家を招き、東京都千代田区に研究所を新設した。新型コロナウイルス対策などを取り込むフィルターや、物とインターネットがつながる「IoT」技術を活用し、フィルターの汚れ状況を随時監視できるシステムの開発などを進める。

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 同社は火山灰や花粉などを吸着できて定期的に洗浄することで機能を長持ちさせるだけでなく、空調の電力量の削減も図れるフィルターを複数種開発している。新研究機関の立ち上げで、自社技術の向上を図る。

 新研究所の名称は「IAQ(室内空気質)先端技術研究所」。所長は総合化学品会社のデンカ(東京都)が設置の同社中央研究所で所長を務めた経歴がある浅井新一郎氏(79)が就いた。このほか元大手自動車メーカーの技術者や火山灰の研究の第一人者などで研究を行う。

 主な研究テーマは「ウイルス感染対策酵素フィルタの開発」や「ゼロミッションフィルタのクラウドコンピューティング」など。「ウイルス感染対策」では、新型コロナウイルスなどの対策となるフィルターの研究開発を進める。

 松江昭彦社長は世界的な空調関連の研究団体「ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)」が新型コロナの感染経路について、飛沫(ひまつ)や接触のほか、菌が付いたほこりやちりを介しての感染の危険性を発表したことを紹介。「塵埃(じんあい)感染の対策を講じる必要性が強調されている」点に着目しているという。

 「クラウドコンピューティング」では、フィルターの汚れなどの状況データを随時パソコンなどに配信し、適切な時期でのフィルター洗浄などに活用するシステムの構築を目指す。自動車の摩耗状況などをインターネットで知らせる「コネクテッドカー」のフィルター版をイメージしているという。

 従来の中性能フィルターは、全数を同時期に交換廃棄されたものを、構想するシステムでは汚れたフィルターを感知。随時交換洗浄を行い、フィルター全体の長寿命化やコスト削減を図る。

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