埼玉新聞

 

<新型コロナ>子どもいる家庭に食材を無料で 学校給食の食材も提供、県内の子ども食堂で一斉に実施

  • 給食の食材を小分けにする本間香さん(左)やスタッフら=3月24日、さいたま市緑区

 県内の子ども食堂でつくる任意団体「県子ども食堂ネットワーク」(本間香代表)は先月、企業や市町村などから食材の提供を受け、子どものいる家庭に無料で食材を配る「ホームステイ応援プチパントリー」を67カ所の子ども食堂で一斉に実施した。県が事務局を務める「こども応援ネットワーク埼玉」が食材の提供を希望する企業、団体と子ども食堂をマッチング。コメや野菜、海産物に加え、学校給食の食材も提供された。

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 食材は県子ども食堂ネットワークの事務局が置かれる古民家カフェ藍(さいたま市緑区)に集められ、各地の子ども食堂の運営者が車で持ち帰った。学校給食では春日部市と越谷市の小中学校86校分が寄せられ、中にはパッケージに「祝、おめでとう」と書かれた新入生用の紅白ゼリーなどもあった。

 さいたま子ども食堂には24世帯が食材を受け取りに来た。7歳の娘を育てる30代の女性は「テレワークをしており、食事作りや子どもの世話をするのが時間的に大変。給食がなく、お昼代が割高になった」と話した。40代の女性は「中学1年生になった娘の心の支えのため、最近フェレットを飼い始めた。ご飯作りは苦ではないが、給食の味は出せないので配布はありがたい」と感謝した。

 同食堂を主催する本間香さんは「どなたでも利用できるが、今日来た人の中には食べ盛りの4人の子どもがいる家庭や、3人の子を育てるシングルマザーもいる。貯金を崩してでも子どもを食べさせなければならない人は多い」と説明。「食材をあげたい人と欲しい人をマッチングできるのは全国でも埼玉県だけ。今日も子ども食堂や卸業者が垣根を越えて助け合い、子どものために力を合わせた」と話した。今後も同規模のフードパントリーを予定しているという。

 県少子政策課は「感染症の影響で子ども食堂や給食が中止になり、日々の食事に困る人は多い。こうした活動の広がりを望んでおり、県も協力を惜しまない」と意欲を示した。

 同課の把握では、フードパントリーを行う団体などは21カ所あり、子ども食堂は昨年8月末時点で213カ所ある。子ども食堂の中には感染症対策で食事提供を行えなくなり、フードパントリーとして食材を提供する動きが広がっているという。

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