埼玉新聞

 

<新型コロナ>宇宙飛行士からメッセージ 休校続く子どもたちに、宇宙ステーションの滞在体験から助言

  • 子どもたちに向けたメッセージを埼玉新聞に寄せた宇宙飛行士の若田光一さん(本人提供)

  • 講演会終了後も丁寧に生徒の質問に答える若田さん。この生徒は現在、若田さんの言葉を胸に医師を目指している=2018年12月、さいたま市浦和区の県立浦和高校

 さいたま市出身の宇宙飛行士、若田光一さん(56)が、「こどもの日」に向け、埼玉新聞にメールでメッセージを寄せた。新型コロナウイルス感染拡大対策で休校が続く子どもたちに、「家族や友人とオンラインで密につながり、今しかできないことを楽しんで」と呼び掛けている。

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 若田さんは、日本人初の国際宇宙ステーション船長を務めるとともに、約半年間の長期滞在ミッションを成功させた。ことし4月からは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の特別参与・宇宙飛行士に就任。同機構広報によると、次のミッションは未定だが、宇宙飛行士グループの指導を担当している。現在は茨城県つくば市の筑波宇宙センターに勤務しつつ、自宅でテレワーク中という。

 宇宙の閉鎖空間で188日間に及ぶ連続滞在体験を踏まえて若田さんは、「自分のペースを掴(つか)んで、学びと遊びのメリハリのある時間を過ごすことが大切」と助言した。

さいたま市青少年宇宙科学館(浦和区)の名誉館長も務める若田さんは、同館関連行事だけではなく、2018年12月に県立浦和高校、19年11月には市立大宮別所小学校(北区)と、それぞれ母校で講演。「ここに帰ってくることができてうれしい」と笑顔を見せた。

 4度の宇宙飛行や、日本人最長となる総宇宙滞在時間を過ごした経験を基に、自己管理をしっかり行いながら目標に向かって努力する重要性や、夢を持つことの大切さについて語り掛けた。講演後には児童や生徒、保護者らから多くの質問が相次いだ。若田さんは一人一人と丁寧に向き合い、温かなアドバイスや力強いエールを送った。

■寄稿全文

 現在自宅でのテレワークが中心ですが、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」での実験や、ISSに物資を運ぶ「こうのとり」9号機の打ち上げ準備を進めるための仕事、月探査に向けたNASA(米航空宇宙局)などとの国際的な調整に毎日、取り組んでいます。

 新型コロナの影響で、多くの方々が家で過ごす時間が増えていますが、宇宙の閉鎖空間で188日間仕事をした時と同様、普段の生活からリズムが変わらないように平日は日課をきちんと定め、自分のペースを掴(つか)んで、学びと遊びのメリハリのある時間を過ごすことが大切だと思います。日課の中に運動の時間を短くても入れること、週末はきちんと休み、決して無理をしないことが、宇宙でも地球上でも体と心の健康に重要です。

 そして、オンラインで家族や友人と密なコミュニケーションを続けるなど、今しかできないことを楽しんでください。つらいなと思った時は、工夫しながら前に進もうと努力している時が一番成長している時だということも忘れないでください。

 行動で迷ったら、今、なぜこのことに取り組んでいるのかという根本の理由に立ち返って、今自分が取り組むべきことが何かを再認識することが大切です。どんな時もユーモアを忘れず、感染を防ぐために一人一人が今できることをしっかり考え行動し、世界中のみんなと一緒に乗り切っていきましょう。

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