埼玉新聞

 

<新型コロナ>休業か営業か…道の駅に苦渋の選択 公園が家族連れで混雑、生活に必要な米や農産物販売も

  • 大型連休中は休業し、遊具の使用を中止しているアグリパークゆめすぎと=杉戸町才羽

 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、不要不急の外出の自粛が呼び掛けられているゴールデンウイーク(GW)。ドライバーの休憩施設や地域の情報発展拠点として親しまれてきた都市近郊の「道の駅」も例外ではなく、臨時休業を迫られている。しかし、道の駅では地域住民の生活に必要な米や農産物も販売しており、閉めるわけにはいかない事情もある。休業か営業か、苦渋の選択を迫られている。

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 杉戸町才羽の「まちのえき・道の駅 アグリパークゆめすぎと」は広大な芝生広場や遊具、バーベキュー広場が人気で、GWは毎年、1日約1万人の人出でにぎわう。

 しかし今年は新型コロナの影響を受け、2~6日まで農産物直売所や花屋、食堂、農園の臨時休業を決めた。駐車場、トイレは24時間開いている。

 施設は町などが関わり、有限会社が運営している。4月の週末は臨時休校中の子どもを連れた家族が町内外から押し寄せ混雑したため、急きょ公園の利用を制限。看板や放送を通じて、長時間滞在しないよう呼び掛けた。

 こうした状況を踏まえ、GW中の休業を決断。古川好宏代表は「一番の稼ぎ時となるはずだったのに残念。2001年の開業から、これまでにこんなに休んだことはない」と肩を落とす。

 同駅に農産物や加工品など商品を卸す業者は約200件に上る。うち135件が登録する直売所出荷登録者組合の榎原一郎組合長は「(休業に)反対する組合員はいなかったが、生産者はGWの売り上げを期待していたので、とても残念。休業はやむを得ないが、今後のことを考えると早く終息してほしい」と話す。

 同道の駅から約4・5キロ離れた春日部市上柳には「大凧(おおだこ)の里 道の駅庄和」がある。毎年5月3、5日に開かれる「大凧あげまつり」や4日の「春日部大凧マラソン」でにぎわうが、今年は一連の行事が全て中止になった。

 町外のファミリー層の利用が多い杉戸とは対象的に、国道4号バイパス沿いにある庄和は長距離トラックの運転手や地域住民の利用が多い。GW中、駐車場とトイレは通常通り利用できるが、フードコート「食彩館」は休業。一方、地元住民の食材購入に不可欠なため、直売所は営業することを決めた。

 直売所を営業する側の苦悩も多い。同駅は「地元の人々が生活に必要な米や野菜を買いに来るため、営業せざるを得ない。混雑した場合には入場制限をかけなければ」と対応に頭を悩ませている。

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