<新型コロナ>感染の第2波来たら、持ちこたえられる店少ない…悩む県内店 給付金、助成金「期待できぬ」
新型コロナウイルスの感染拡大で、今月31日までの延長が決まった緊急事態宣言。休業や時短営業している県内の小規模店舗は我慢を強いられ、事業継続を支援する給付金や助成金制度も「期待できない」とこぼす。出口の見えない状況の中、中止していた店内営業などを再開させる店舗も出ている。
さいたま市大宮区の大宮一番街の居酒屋「カキ小屋 首領マサオ」は4月6日から1カ月間、店内営業を止め、昼時に弁当のテークアウトを行っていた。8日からは、店内営業を午後8時まで再開させるという。
店主の村谷太郎さん(34)は「今は月末の資金繰りに困っている状態なので、店内営業を再開させないと、経営が続かない。給付金はおそらく8月以降にならないと入らないから期待できない」と渋い表情。「今後、昼は弁当販売を継続させ、夜は席数の制限やメニュー改善を行うなど営業スタイルを変えないと、乗り越えられない」と話す。
別の居酒屋店主(51)は「緊急事態宣言が解除されたとしても、街に活気が戻るのは1、2年先。国や県が家賃免除などの対応を取ってくれない限り、個人事業主はもたない」と肩を落とした。
同区の美容室「REPLAY」は、今月6日まで従業員に休業してもらっていたが、緊急事態宣言の延長で今後のシフト調整に頭を悩ませている。経営に携わる三枝康乃さんは、持続化給付金や雇用調整助成金の受給について、「政府や県の対応がはっきり見えず、今後の営業方針が定めづらい」と不安を隠さない。
店の売り上げは、前年と比べ半減したものの、「いつでもお客さんが戻ってこられるように、常に店内の衛生面に気を配り、安心できる店づくりを心掛けたい」と話した。
狭山市の豚丼専門店「松風」では緊急事態宣言発令前の3月末から、自主的に店内飲食からテークアウト弁当の販売のみに切り替えた。現在、売り上げは半減している状況だという。
店主の村松真紀さん(42)によると、持ち帰りのみに切り替えた当初、店内飲食ができないと知ると帰ってしまう客がほとんどだった。「弁当も店内と同じものを提供しているのに…」。緊急事態宣言の延長については「苦しいけれど、緩めて(感染が)爆発するよりは。もう一波来たら、持ちこたえられる所は少ないのでは」と考える。
県から支援金の支給もあるが「自力で模索しながらやっていこう」と持ち帰りのみで営業。昼だけでなく夜も午後8時まで営業しているというが、午後7時を過ぎるとほぼ注文がない状況で、準備していた食材を廃棄せざるを得ない日もあるという。
今後は「店内がない分、配達も考えないといけない。配達希望の問い合わせもあるので、態勢を整えて準備したい」と村松さん。「外出自粛で食事が楽しみになっている人は多いと思う。豚丼を食べて元気になってもらえれば」と話した。