埼玉新聞

 

<新型コロナ>イオンリテール、県産の給食用牛乳を販売 地場の酪農家らを支援、5月末までの期間限定

  • イオン熊谷店では販売初日の午前中から多くの買い物客が埼北酪農業協同組合の「埼玉県産牛乳うしのちち」に関心を示し、購入していた=19日午前、同店

 イオンリテールは県内店舗で19日から、埼北酪農業協同組合(熊谷市)製造の牛乳の販売を始めた。新型コロナウイルス感染拡大で学校の多くが一斉休校となり、地場の乳業メーカーや乳牛を飼育する酪農家の経営を圧迫していることに伴う措置の一環。同組合は製造する牛乳の大半が学校関係への販売が占めており、本格的に小売業で扱うのは初。5月末までの期間限定で販売する。

 取り扱うのはイオンの羽生店(羽生市)と熊谷店(熊谷市)。販売する牛乳は県産生乳で製造したもの。1リットルパック198円(税別)で販売する。1日当たり羽生店が40本、熊谷店が60本の販売を予定する。23日には与野店(さいたま市中央区)で400本、大宮店(同市北区)で100本販売予定。5月中に1700本の販売を目指す。

 県内では収益の5割近くを学校給食が占める乳業メーカーもあり、3月から始まった一斉休校が経営に打撃を与えているといわれる。生乳は一般的に年間契約で買取単価が決まり、当初は影響は軽微ではないかとみられていた酪農家も、休校が長引き少しずつ今後の取引を含めて先行き懸念が高まっている。

 一斉休校で牛乳の出荷停止を余儀なくされた酪農家は、牛乳を廃棄するか、脱脂粉乳などの加工用に通常より安価で出荷するケースもあるという。イオンでは安定的に牛乳を販売する環境を提供しようと、包括的連携協定を結ぶ県からの依頼に応じた。

 同社は「新型コロナの影響で販路が縮小した食品関連の生産者らを支援する取り組みに注力している。引き続き埼玉県産含め各種食材の販売に努めていきたい」としている。

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