<新型コロナ>やっと解除…飲食店が営業再開、歩み出し慎重に 活気戻るも、予防対策や経費に悩み
緊急事態宣言の解除から一夜明けた26日、休業や営業時間短縮などしていた県内の飲食店が営業を再開し始めた。店内で飲食する客の姿も増えて活気が戻りつつある一方、「感染拡大の第2波が来るのではないか」と不安視する声も。各店舗は除菌の徹底や座席を減らすなどの予防対策を講じ、慎重に歩み出している。
「やっと解除された」。さいたま市浦和区の居酒屋「大衆馬肉酒場三村 浦和仲町店」では、緊急事態宣言の解除を受け、26日から営業を再開した。
同店の小湊章店長(44)は「再開できることは良かったが、客同士の間隔を空けるなど満席にはできない」と話す。除菌スプレーなどの衛生用品も用意したが、経費の面で負担は増加。「衛生面は気を使わないといけない。当分はこれまで通りの営業とはいかないだろう」と開店準備を進めていた。
4月上旬から休業していた同区の和食店「石屋」では、時間を短縮して先週から営業を再開している。宣言解除を受けて通常通りの営業に戻す方針だというが、料理長の今井雅浩さん(42)は「お客が戻ってきてくれるだろうか」と不安げ。
同区の中華料理店「刀削麺酒家」は、4月上旬から店先での弁当販売を開始した。夜は県からの要請を受けて午後7時までの営業としていたが、「酒類の仕入れや従業員の確保など準備も必要。解除後すぐに営業形態を元に戻すことはできない」。
営業時間やテークアウトの終了などについては検討中だが、「宴会で人が集まれば感染の心配もある。『何人以上は受け入れられない』など基準を作る必要があるのだろうか」と今後の対応に頭を悩ませる。
さいたま市大宮区の大宮一番街の居酒屋「カキ小屋 首領マサオ」は、25日から営業時間を延長。これまで午後8時に閉店していたが、火~木曜は午後10時まで、金、土曜は午後11時までなど、曜日によって営業時間を変更することにしたという。
「しばらくは売り上げの回復が見込めないので、人件費などを考慮して臨機応変な対応が必要」と店主の村谷太郎さん(34)。当面は店内の席数を減らし、防菌シートで仕切りを作るなどしてメニューの品数も減らし、少人数の体制でも対応できるよう改善を図っていく。
同区のイタリア料理店「バール・トラットリア ディアボラ大宮店」では、自粛期間中に午後8時までとしていた平日の営業時間を午後10時半までに延長。客席を減らし、席の間隔を空けるなど感染対策を講じている。
シェフの門平光正(37)さんは「これから商店街の活気は少しずつ戻っていくと思うが、今後は、テークアウトにも力を入れるなど、新しい生活様式を取り入れた営業スタイルにしていく」と話していた。