埼玉新聞

 

県ラグビー協会理事長、W杯への思い語る「熊谷をラグビーの楽しさ日本一に」 W杯後も国際試合開催に意欲

  • W杯へ思いをはせる県ラグビーフットボール協会の増田伸二理事長=熊谷市上川上の県営熊谷ラグビー場

 いよいよ待ちに待った楕円(だえん)球の祭典がやってくる―。9月20日~11月2日、アジア初となるラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会が全国12会場で開催される。埼玉県では、熊谷市上川上の県営熊谷ラグビー場で3試合を実施。2018年6月に県ラグビーフットボール協会理事長に就任した増田伸二さんは「熊谷をラグビーの楽しさ日本一にしたい」と意気込む。

 中学時代は野球部のエースで主砲。ラグビーに興味を持ったのは3年の受験シーズンにテレビで見た大学選手権がきっかけだった。日本代表監督も務めた同郷の故宿沢広朗さんの活躍に感化され、「高校に入ったら自分もやろう」と決意。当時は子ども向けの普及活動も進んでおらず、「みんな高校から始めるから、頑張ればレギュラーになれるかも」という目算もあった。

 しかし、県立熊谷高校ではなぜか野球部に入ってしまう。とはいえラグビー熱は冷めず、1年秋に転部。主将を務め、3年時には関東大会にも出場した。進学先の埼玉大学でもラグビーを続け、卒業後は県庁に勤務する傍ら、大学のOBを中心とする社会人クラブチームの一員として30代半ばまでプレー。大会運営を通じて協会とつながり、1996年理事になった。

 「紳士のスポーツ」といわれるラグビーだが、プレーは肉体同士が激しくぶつかり合う。「どうしてもエキサイトしてしまうし、トラブルに発展することもある。だからこそ、自分自身をコントロールする努力が必要になってくる」。耳の中まで泥だらけになった思い出を語りながら、懐かしそうに振り返る。

 協会の副理事長に就いてからはW杯の熊谷開催実現に向けて、坂下辰夫前理事長をサポート。10万人超の署名を日本ラグビーフットボール協会に提出するなど尽力した。15候補地が名乗りを挙げる中、熊谷は会場の規模から不利と予想されたが、それでも「西の花園、東の熊谷」と並び称されるラグビー聖地の力を信じた。

 18年8月末に改修工事を終えた熊谷ラグビー場では、9月24日にロシア―サモア、同29日にジョージア―ウルグアイ、10月9日にアルゼンチン―アメリカの3試合が行われる。加えて9月6日に日本―南アフリカの壮行試合も決まった。前回のイングランド大会で日本が番狂わせを演じ、注目を集めた相手だ。

 「大会直前の日本代表戦で、実質的にW杯が4試合になったと言っていい。南アフリカも『二度は負けられない』と本気で来るから、きっと盛り上がる。その勢いをW杯につなげたい」。地元の熊谷は暑さでも有名なまち。18年7月23日には国内最高気温を5年ぶりに更新する41・1度が観測された。「今度はラグビーの楽しさ日本一にしたい」と目を輝かせる。

 ただ、観客の交通輸送、ボランティアの運営、大会の機運醸成など解決すべき課題は多い。最も懸念しているのが、W杯のラグビー熱が一過性で終息してしまうことだ。2万4千席のラグビー専用スタジアムが“負の遺産”にならないよう「W杯できちんとノウハウを構築し、国際試合を含め好カードを継続して開催するため中心となって機会をつくりたい」と語った。

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