子死亡、車に残され…悲劇なくしたい埼玉、全国初“児童放置禁止”義務化を検討へ 条例改正案を提出、可決されると来春から施行 小3以下の児童、家などに残し外出禁止 集団下校、ひとり親は
県議会最大会派の自民党県議団(田村琢実団長)は4日、住居や自家用車内に児童が放置されて死亡する事案を防ぐ目的で、県虐待禁止条例の一部改正案を開会中の9月定例会に提出した。改正案では小学校3年生以下の児童の養護者は当該児童を住居、その他の場所に残して外出することなどを禁じ、4~6年生については努力義務とする。罰則規定は設けない。虐待を受けた児童を発見した場合、速やかに通告・通報すること、各自治体が待機児童解消、児童放置の防止に資する施策を講じる規定を合わせて盛り込んだ。
提案者を代表して登壇した小久保憲一県議は「諸外国の例を調査するなど、議論を重ね、検討を行ってきた。ひとり親家庭の状況などご指摘されるところではあるが、子どもたちの安全を確保していくとの思いで提案させていただいた」と述べた。自民党県議団によると、放置禁止を明文化した条例の制定は全国で初めてという。改正案が可決されれば、2024年4月1日から施行される。
4日の本会議質疑では伊藤初美県議(共産)が「禁止する内容があまりに広い」として、該当する状況の確認と同県議団が募集した県民コメントの公開を求めた。答弁した小久保県議は「9歳の子どもが公園で遊んでいる場合は、児童の安全を確保することができないと考えられ、養護者がその場にいなければ(禁止事項に)該当する。1~3年生の集団下校は、見守り、付き添いによる安全確保ができない場合は該当する」と判断基準を示した。県民コメントについては非公開を前提に募集したという理由から「答弁を差し控える」とした。
自民党県議団の田村団長は取材に対し、「社会的慣習を法規範で是正していく流れをつくりたい。周知も含め、待機児童ゼロなどの取り組みも市町村や県に協力していただきたい。皆さんのご意見でブラッシュアップし、全会一致で議案が通ることを期待したい」と話した。
18年に施行された同条例は、18歳未満の児童および65歳以上の高齢者、障害者の養護者に対し、虐待の禁止と安全確保への配慮などを義務付けている。