埼玉新聞

 

移動自粛、解除後初の週末 埼玉にも県外から観光客「まだ少ない」「感染怖い」【#コロナとどう暮らす】

  • 人気のE5系新幹線の模型を間近で見て楽しむ来館者=20日午後、さいたま市大宮区

 県境をまたぐ移動自粛が解除されて最初の週末を迎えた20日、埼玉の行楽地も県外から訪れる観光客でにぎわいを見せた。「注意しながら楽しみたい」「とにかく安全が第一」。新型コロナウイルスの感染予防に細心の注意を払いつつ、新しい「日常」の模索が本格的に始まった。

 蔵造りの町並みで知られる川越市の「一番街」で、日傘を差して夫婦で歩いていた東京都荒川区の会社員女性(54)は「コロナからの抵抗感がまったく消えたわけではないが、移動が解禁されたので遊びに来た」と話した。「日傘を差して歩けば道路で人との距離も自然と保てる。感染に注意しながら観光を楽しみたい」

 川越観光のランドマーク「時の鐘」近くで、7歳の長女、3歳の次女らとかき氷を食べていた神奈川県茅ケ崎市のサービス業男性(43)も移動自粛が解除されたタイミングを見計らって訪れた。「これまでは小さな子どもがいると、休みの日は大変だった。きょうは楽しんでいる」。川越までの高速道路は混雑も見られ、人の動きを感じたという。

 土産物店の店員は「緊急事態宣言のさなかと比べれば、だいぶ観光客は増えてきたが、週末の本調子からはまだ少ない」と言い、「観光客が増えれば、それだけ感染のリスクも高まるし、怖い面もある」と複雑な表情。

 さいたま市大宮区の鉄道博物館にも、県内外の鉄道ファンが足を運んだ。もうすぐ2歳の誕生日を迎える息子、夫と3人で訪れた東京都の女性(27)は「感染症は心配だけど、これまであまり外出ができなかったので、電車が好きな息子へのプレゼントとして来た」という。抱き上げられた息子はお気に入りのE5系新幹線の模型を間近で見たり、窓の外に見える電車を指さして歓声を上げたり、大はしゃぎ。

 感染リスクを下げるため、入館は時間指定の入館券購入者と年間パスポートを持つ人などに限定。入場の際には検温と消毒を行い、マスクの着用も条件としている。タッチパネルや鉄道の運転シミュレーションなどの展示は中止。飛沫(ひまつ)対策として受付カウンターを透明のシートで覆い、接客スタッフは口元の見えるフェースシールドを装着し、息苦しさからマスクを外している客には着用を促す声掛けを行っている。

 広報担当者は「とにかく来館者とスタッフの安全が第一。万全の対策の中で安心して楽しんでほしい」と話し、今後予想以上の混雑が生じた場合にはさらなる緩和策を講じるとした。

ツイート シェア シェア