山田うどん“黒い案山子”何が…ネット通販で攻勢 高品質の黒豚肉うどん、熟成カレーうどん投入 夏は更に
「山田うどん」で知られる山田食品産業(所沢市)は、インターネット通信販売の新シリーズ「山田の通販~プレミアムシリーズ~」を立ち上げた。入間市に自社製麺工場を持つ利点を生かし、店舗で提供するうどんより高品質の麺を開発。各2食分でつけ汁タイプの黒豚肉うどん(税込1400円)と、スパイスが効いた熟成カレーうどん(同1200円)を販売中。高級感を印象付けるためシリーズのイメージ色は黒と金色に設定した。
多くの「山田ファン」に訴求し、まずは今夏のお中元需要の掘り起こしを進める。新型コロナウイルス感染拡大で実店舗の来店客数が減り売上高が伸び悩む中、再び注力する通販部門で、店舗では味わえない希少性を訴求した新商品で、収益向上を図る。
同社で使用するうどんの国産小麦は時価や品質を踏まえて決めている。同シリーズもそれを踏襲しながら、店舗との差別化を図るため北海道産小麦の表皮と胚芽を取り除かず、石臼でひいた全粒粉をブレンド。食感に加え小麦の風味も楽しめるという。麺の特徴を保持できるよう、製造後に急速冷凍をしている。
汁や具材もこだわり、黒豚肉うどんの汁はかつお節とさば節に煮干しや昆布のうま味を加えて作った。具材には供給が安定している宮崎県産の黒豚を使用。カレーうどんの汁は「自社店舗で出すと高価格になる」(同社広報担当者)ほど、使うスパイスの種類や煮込み時に使う肉にはこだわった。
包装も凝った。商品を入れる箱に、新たに黒基調でシンボルマークの「案山子」をあしらったデザインのラベルを張り付ける。商品と包装に重視する点を「山田ファン」などに訴求し、お中元商戦の需要を掘り起こす。
コロナにより4月の既存店売上高が前年対比で半減の外食チェーンは多い。同社も「同様に厳しい」としつつ、「売上高をコロナ前の水準に戻すのは難しい」と話す。そのため、自社事業から逸脱せずに収益向上へ、再び通販部門の販促に注力する。
従来品のモツ煮「パンチ」の通販は「巣ごもり消費」需要を取り込み、3~4月期の販売数は前年同期比で4倍と好調。好循環に乗りギョーザの販売も再開。麺類は以前に販売も「こだわりを持った商品でないと売れない」として、今回のプレミアムシリーズを開発し、販売再開となった。
販売は黒と金色が基調の自社通販HPで行う。現在はお中元商戦の最中で、売り上げ目標は非開示ながら「まずはお中元で多くのファンを獲得したい」と話す。
今後は、製麺工場を持つ利点を生かし、そばやラーメンも販売したいという。現在、同シリーズの新商品開発を推進。「今夏には第2弾の商品を投入したい」と強調した。