埼玉新聞

 

チケットもぎりは来場者が 感染防止対策講じ、さいたま芸術劇場が主催公演【#コロナとどう暮らす】

  • 感染防止対策のため、来場者自らがチケットの半券を入れる箱や消毒液を設置する劇場の職員。コンサート当日はボードでマスク着用や検温を呼び掛ける=3日午後、彩の国さいたま芸術劇場

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、6月1日まで臨時休館していた彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市中央区)が5日午後、4カ月ぶりとなる主催公演を行う。再開第1弾は「大塚直哉レクチャー・コンサート」。座席数は半分以下、チケットもぎりは来場者が自ら行うなど感染防止対策を講じる。同劇場の渡辺弘事業部長(67)は「ようやくできる、という喜びと不安な気持ちが混在している。一歩ずつやっていくしかない」と話した。

 故蜷川幸雄さんが芸術監督を務めていたこともあり「演劇」のイメージが強い同劇場。まずは出演者が2人で、リハーサルが密にならない音楽ホールでのコンサートからの再出発となった。

 全国公立文化施設協会の感染拡大予防ガイドラインなどに基づき、座席は最前列とさらに前後左右をあけ、最大604席のところを288席に限定した。

 チケットはスタッフが目視で確認後に来場者が半券をちぎる、ホール各所に消毒液、列に並ぶ際に1メートル間隔にするための目印を設置―などの対策を実施。さらに来場者にはマスク着用や検温、会話を控えることを呼び掛ける。「接触を避ける」意味で飲み物を提供するビュッフェは休止し、クロークやブランケットの貸し出しサービスは行わない。同コンサートのチケットは既に完売している。

 出演する東京芸術大教授でオルガン奏者の大塚直哉さん(49)は「久しぶりに観客を入れて演奏することにわくわくしている。来場者にはいくつかの不便を強いるが、座席の間隔があいていることで普段とは違う音の響きを発見する楽しみがあると思う」と話した。

 2月28日に歴史劇「ヘンリー八世」の公演を中止して以降、約130日ぶりの主催公演。同劇場と埼玉会館(さいたま市浦和区)を運営する県芸術文化振興財団は2月28日から6月30日までに28事業の計64公演を中止・延期した。

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