強要…小食の女児に無理やり、給食を完食させようと迫る 母親から「食べられる量が他の児童の1割」と言われていた担任教諭、6割まで盛り増し さいたま市に賠償命令「許されない、違法と言わざるを得ない」
2023/10/26/08:17
さいたま市立小学校で担任教諭が児童に対して給食の完食を強要していたなどとして、小学5年(当時)の女子児童とその両親らがさいたま市に対して慰謝料など約2900万円の支払いを求めた損害賠償請求訴訟の判決が25日、さいたま地裁であり、関根規夫裁判長は原告の請求を一部認め、市に33万円などの支払いを命じた。
判決理由で関根裁判長は、女児の母親が担任教諭に対して完食できる給食量が他児童の1割程度であることを知らせ給食配膳量の減量などを求めていたにもかかわらず、担任教諭が他児童の6割程度の給食を配膳し続けたと判断。
さらに文科省が学校給食について、食事を残さずに完食するという食育に取り組むことを推奨している一方で、食に関する健康課題を有する児童については個別の事情に応じた対応が重要という方針を示していることに言及。「食育の一環として児童の偏食を改善する目的が含まれていたとしても、(中略)食べられない量の給食を盛り増しし、事実上完食を強要するもの」であると指摘し、「担任教諭として許される程度を超えて行われた指導として、児童の人格権を侵害する違法行為であると言わざるを得ない」とした。
訴状などによると、女児は2017年4月から多数回にわたって、食事量が極端に少ないにもかかわらず担任教諭から他児童と同程度の給食を配膳された上で完食を強要され、精神的苦痛や健康被害が生じたなどとして、さいたま市に対して慰謝料などの支払いを求めて21年に提訴していた。
さいたま市教委教職員人事課は「手元に判決文がないためコメントは差し控える」とした。