戸惑い…PTAに個人情報「筒抜け」新築中の仮住まいに突然、役員が訪問してきた 母が恐怖、子が通う小学校に住所変更を届け出ると…教えていないのに役員また新居に現れる 白岡市、PTAへの個人情報の提供禁止に
PTAが任意団体であることを踏まえ、白岡市教委が学校の個人情報を原則PTAに提供しないなどの「留意事項」を市内小中学校10校に内部文書として通知していたことが、7日までに分かった。留意事項には、入退会手続きや会費の徴収方法に関する記載なども盛り込まれている。
市教委は今年2月、市内小中学校長宛てに「学校におけるPTA活動についての留意事項」を内部文書として通知した。「留意事項」は、(1)PTAが任意加入であることを周知する(2)会費の徴収方法について十分説明する(3)学校は個人情報をPTAに提供しない(4)未加入者の子どもに配慮する―など。
2017年、県は小中学校向けにPTAが任意団体であることを踏まえた留意点を通知。21年には、大分市で保護者が同意していない個人情報をPTAに開示し、小学校長が地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで書類送検され不起訴になる事例があった。
白岡市教委によると、個人情報はこれまで、「この情報はPTAの方に提供させていただきます」など、ただし書きを加えることで、PTAに提供していた学校があったという。「留意事項」は、PTAが個別に会員に個人情報の提供を求めることができると指摘し、学校からの情報を原則提供しないと定めている。また、PTAが情報提供を依頼する際、PTA会長と連名で校長名を出さないよう求めている。
入退会について、市内では入学式でPTA役員が口頭で説明したことを理由に、入会として扱っていた事例があったという。「留意事項」では入退会に当たり、保護者が書面で「申込書」や「退会届」を提出することを求めている。PTA会費では、学校が代理で会費を徴収することを認めるが、給食費や積立金といった「校納金」とPTA会費を区別していることを十分説明するよう指摘している。
市教委によると、当初は学校長から「PTAの会員が減る」などの声があったという。新入生への対応、通学班の編成など新年度に向けた準備が始まる中、市教委は「PTAの会員数に大きな減少はない。適切に行われているか、学校長とPTA連絡協議会と連携し確認している」としている。
都内から白岡市に転入し、小学校に子どもを通わせる40代の母親は学校に届け出た個人情報がPTAに「筒抜け」になっていたことに戸惑う。「突然(PTAが)仮住まいに訪問してきた時は怖かった。何かの勧誘かと思った」。建設中の自宅が完成し、学校に住所変更を届け出ると再度新宅にPTA役員が訪問。緊急連絡先としていた夫の携帯電話が鳴り、地域の子ども会にも個人情報が伝わるなど不信感が膨らんだという。
同市PTA連絡協議会副会長で、県PTA連合会の副会長でもある柳和志さん(48)は「PTAは子どものために保護者と教員が協力する組織だが任意団体。昨年度、学校からの名簿提供は受けないことを確認した。入学保護者説明会で入会希望を取り、会費徴収は学校と業務委託契約を結んでいる。会員に理解してもらってこそ成り立っている」と話した。