5歳死亡…マージャンに集中する女、投げ飛ばす内縁夫を「止められず」 ずっと暴行指示していたのは女、法廷で「今回指示ない」 「けがせぬよう配慮し暴行指示」の女に懲役15年求刑「夫浮気で普通でない精神状態」
本庄市の住宅で昨年1月、当時5歳の男児を暴行して死亡させ、遺体を床下に遺棄したなどとして、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた同居人の女(56)の裁判員裁判の論告求刑公判が16日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。検察側は「主導的立場だった」などとして女に懲役15年を求刑。弁護側は男児が死亡するきっかけとなった暴行への関与を改めて否定、傷害致死罪は成立しないと主張し結審した。判決は24日。
論告で検察側は、女と内縁の男(36)=傷害致死罪などで懲役12年、控訴=と男児の母親(32)=同罪などで懲役10年、控訴=の3人による約1年にわたる暴行について、「(女が)2人に指示したことが発端だった」とした。男児が死亡するきっかけとなった暴行への関与については「女自身が実行犯ではなくても、暴行の意思を相通じていれば責任を負う」と指摘した。
一方、弁護側は死亡するきっかけとなった暴行は「全く予想することができなかった」とし、投げ飛ばしたとされる男への指示もなかったと主張。当時、男の浮気などにより疲弊し「普通ではない精神状態だった」とした。女が普段していた暴行指示はけがをしないよう配慮していたとも述べた。
弁論後に発言を求められた女は「本当に申し訳ないことをしてしまったと反省しています」などと謝罪した。
女は13日と14日に行われた被告人質問で、男児が死亡した日は「男にマージャンを教わっていて、覚えることに集中していた。止める間がなかった」と関与を否定。一連の暴行についても、断片的に「記憶がない」などと繰り返していた。
起訴状などによると、女は母親と男と共謀の上、昨年1月18日、本庄市内の住宅内で母親の長男=当時(5)=を投げ倒すなどの暴行を加えて死亡させた上で、翌19日、住宅の床下に穴を掘り遺体を埋めて遺棄。また、同居の高齢女性が亡くなったことを隠して、17年12月から昨年2月15日までの間、複数回にわたり老齢基礎年金など計約1154万円をだまし取ったなどとされる。