埼玉新聞

 

漫画家・みうらじゅんさんが集めるものは… 桶川で講演、断捨離せず「マイ遺品」で葬式を沸かせて

  • 「これから集めるものはマイ遺品」と独特の収集癖を披露したみうらじゅん氏=桶川市民ホール

 「なぜ断捨離なんかしなきゃいけない。これから集めるものは遺品なんだから、ありがたがってもらいたい」―。会場を爆笑の渦に巻き込んだ漫画家・イラストレーターみうらじゅんさんの講演会「マイ遺品」が24日、桶川市民ホールで開かれた。さいたま文学館主催の特別講演会で、北海道から鹿児島まで3600人の応募者の中から抽選で選ばれた約700人が席を埋め、みうらじゅん節を堪能した。

 みうらさんはエッセイスト、ミュージシャン、評論家など多彩な分野で活躍。「マイブーム」「ゆるキャラ」といった造語・新語を生み出したことで知られている。今回のテーマ「マイ遺品」では、自身が集めた面白い土産物をはじめ、こだわりの“遺品”の画像が楽しいトークとともに数多く披露された。

 台湾の故宮博物院で出合った豚の角煮を模した彫刻「肉形石」について「絶好の出合い。ぞくっとした」と話し、「土産物として必死で探したのがこれ」と角煮ボールペンや角煮スノードームを紹介。「スーベニール(みやげ)としては全くダメでしょ。でもね、それが俺のマイ遺品になる」と笑わせた。

 また海女の人形の収集にはまった時は「海女ノイローゼになって、桶を買おうとした」といい、中学時代はボブ・ディランになろうとしたことや牛が好きになって搾乳機を買おうとしたことなどと、話題は広がった。

 また「勝手に観光協会」と称して、地方に行き、ご当地の土産物などで旅館の床の間を飾る「床(とこ)のマート」の画像では会場が大爆笑。「お布団を敷きに来てくれる人だけに見せる一瞬のアート。ヤバイ人だと思ってもらうのが狙い」と話した。

 その後も「誘われても見たくない映画」や収集している紙袋のロゴ、カニのパンフレット、変な掛け軸や木彫りなどいろいろな「マイ遺品」で会場を沸かせ、「これらで葬式を盛り上げてもらえればいいかなと思っている」と締めくくった。

 終始笑い通しで講演を聞いていた千葉県在住の広井里江さん(50)は「みうらさんの大ファン。今日はすごく楽しかった。いつ聞いても面白い話で大好き」とうれしそうに語った。

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