一瞬で脳卒中、心臓病に…救われた患者、家族ずっと闘いは続く 埼玉医大国際医療センター、必要とされる「総合支援」充実へ挑戦 命救った後、介護・就労・障害など広くサポートへ 埼玉各地に広げたい“モデル”注目
高齢化とともに患者数が増加する脳卒中、心臓病などの循環器病対策のため、本年度、国の「総合支援センターモデル事業」に選定された埼玉医科大学国際医療センター(日高市)で相談対応や多機関連携などの取り組みが進められている。10月には県内の他の病院を利用する患者を含め、医療や介護から就労や障害まで広く相談を受け付ける窓口を開設。モデル事業は本年度で終了するため、国際医療センターは県に取り組みの継続に向けた支援を求めている。6日に県庁で佐伯俊昭病院長らの訪問を受けた大野元裕知事は「どのように協力し、資源投入していくべきか話し合いたい」と協力に意欲を示した。
国際医療センターの総合支援センターでは、救命救急や患者相談支援、入退院支援などが院内外で連携を行う。また、県や医師会、地域の訪問介護や包括支援センターとも協力し、退院後に患者が日常生活に復帰できるよう支援体制の確立に取り組んでいる。
県疾病対策課によると、2021年の県内の死因順位において心疾患はがんに次ぐ2位で、脳卒中を含む脳血管疾患は老衰に次ぐ4位。同年に救急搬送された急病患者のうち、循環器病は14・3%で最も多かった。急激に発症し早急に適切な治療が必要で、後遺症が残ることや急激な悪化を繰り返す可能性がある。
脳卒中センター長の栗田浩樹副院長は「救急疾患として(の治療)は確立され、命を救うことが使命とされてきたが、命を救った後に残る後遺症や合併症の状況はよく分からなかった」と医療体制の課題を指摘。「脳卒中や心臓病になるのは一瞬だが、患者や家族は(治療後も)ずっと闘っていかなければならない」と話し、「急性期から在宅まで患者、家族が安心できる体制が必要だ」と強調した。
佐伯病院長は「医療機関や介護施設がネットワークをつくれば、県民が安心して生活できる。今回のモデルを各地域で応用できるよう橋渡しをしていきたい」と展望した。