埼玉新聞

 

のぞき見していた…担任教員が思い込みで注意 不登校になった元生徒、桶川市と和解 市教委はコメントせず

  • さいたま地方裁判所=さいたま市浦和区高砂

 担任教員の思い込みで不適切な指導を受け、不登校になったとして、桶川市立中学校の男子の元生徒が桶川市に300万円の損害賠償を求めた訴訟が、さいたま地裁(岡部純子裁判長)で和解していたことが分かった。和解は7月1日付で和解金は60万円。

 訴状などによると元生徒は中学1年生だった2016年4月、友人に手を引かれてトイレの個室内に連れ込まれたため、個室から出ようとするなどしていたところ、「トイレをのぞき見していた」と事実誤認した当時の担任教員が元生徒のみを注意。休み時間中のトイレや授業準備以外での離席を禁じたり、3日間の居残り掃除などを命じた。

 元生徒はその後、ストレスで過敏性腸症候群などを発症して不登校になり、「友人との交流という人格の発展に必要な機会を奪われた」と主張していた。

 元生徒は2018年に桶川市を相手取り提訴。地裁は和解勧告で「担任教諭に誤って決め付けられ、不当に居残り掃除などをさせられたと認められる」と指摘していた。

 和解条項では、市が元生徒側に和解金60万円を支払うことや精神的苦痛を与えたことを謝罪するとした。

 元生徒の母親は「義務教育の機会を奪われたことを考えると和解金には納得できないが、不登校の問題が学校に責任があるということを知ってもらう意義は大きい」と話した。

 市教育委員会は「コメントは差し控える」としている。

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