埼玉新聞

 

<ジモトピア>空への思い、軌跡あちらこちらに 「YS-11」がお出迎え、飛行機パンも 所沢「航空記念公園」

  • 「YS-11」機。1997年の大島~羽田が最後のフライトだった

    「YS-11」機。1997年の大島~羽田が最後のフライトだった

  • ジモトピア・航空記念公園
  • 飛行機の形をしたユニークなパン

    飛行機の形をしたユニークなパン

  • 「九一式戦闘機」。世界で唯一の現存機

    「九一式戦闘機」。世界で唯一の現存機

  • 「YS-11」機。1997年の大島~羽田が最後のフライトだった
  • ジモトピア・航空記念公園
  • 飛行機の形をしたユニークなパン
  • 「九一式戦闘機」。世界で唯一の現存機

 「日本で初めて造られた飛行場は?」と聞かれてどこが思い浮かぶだろうか。東京? 千葉? 答えは、埼玉県所沢市だ。1911(明治44)年に日本初の航空機専用飛行場が造られた。今は航空記念公園として市民の憩いの場となっている。

 西武新宿線の航空公園東口前では航空機「YS-11」が迎えてくれる。第2次世界大戦後、日本のメーカーが初めて182機を製造。主に国内の路線で活躍していた。乗ったことがある人もいるのではないだろうか。

 公園散策の前に、航空公園駅1階にある、アンリーファルマンベーカリーで、パンを買うのがお薦め。朝5時台から作るパンは、細部まで丁寧な仕事ぶり。不動の人気1位「ファルマンドッグ」はパリッと焼き上げたフランスパンにロングソーセージとチーズが挟まり、大満足のボリューム。「飛行機パン」は翼に赤い日の丸が描かれている。客足が途切れることはない。

 航空公園は県営公園では最大規模の50・2ヘクタール。公園内にはベンチも多く、くつろげる。パンを買ったら、のんびりと10分ほど歩いて航空発祥記念館へ。航空機を模した建物を見るだけでもワクワクするが、内部には現役を引退した実機も展示されている。中でも重要航空遺産・近代産業遺産として保管されている「九一式戦闘機」は一見の価値あり。再塗装や補修を実施していない機体から当時の技術力が伝わってくる。

 2024年は零式艦上戦闘機(零戦=ゼロ戦)を設計した堀越二郎の生誕120周年。ライト兄弟初飛行から120年を迎えることも記念して、来年1月18日から特別回顧展が予定されている。特別展に先立ち12月末までミニ企画を開催中。ミニとはいえ、堀越が使用していた道具や資料を間近に見ることができ、充実度は高い。

 記念館前の芝生の上では、公園には珍しくゴム動力飛行機や、フライングディスクを飛ばすことが可能。売店で売られているキットを購入し、親子で組み立てて楽しむ人も少なくない。

 園内には日本で初めて航空機墜落事故で犠牲になった木村鈴四郎中尉と徳田金一中尉の像が立つ。1913(大正2)年3月28日、青山練兵場から所沢飛行場に戻る途中で突風を受け、機体が破損し墜落。全国からの寄付で、記念塔が墜落現場に建てられたが、その後移設された。

 所沢飛行場の滑走路の名残は同記念館近くに窪みとして刻まれている。徳川好敏大尉が操縦するアンリ・ファルマン機が日本で初めて飛行に成功した場所に立ち、冬の澄んだ青空を見上げると、航空黎明期に、果敢にも空へ挑んだ人々の思いが伝わってくる。

 【メモ】所沢航空発祥記念館=電話04・2996・2225。午前9時半~午後5時。休館日は月曜(祝日は翌平日)と年末元日。

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