埼玉新聞

 

鉄道ファン超人気企画、高価でも数分で完売!ふるさと納税の返礼品“E233系車両の運転体験” JR東日本川越車両センターで初開催 スイッチひとつで全長200メートル10両編成が動く、体に振動が伝わり興奮

  • 運転士にアドバイスを受けながら、電車を運転する参加者=10日、川越市並木のJR東日本川越車両センター

    運転士にアドバイスを受けながら、電車を運転する参加者=10日、川越市並木のJR東日本川越車両センター

  • 運転士にアドバイスを受けながら、電車を運転する参加者=10日、川越市並木のJR東日本川越車両センター

 川越市へのふるさと納税の返礼品として、JR東日本大宮支社が提供する電車運転体験会が10日、同市並木のJR東日本川越車両センターで初めて開かれた。午前と午後の2回行われ、計4人の寄付者が参加。埼京・川越線を走行しているE233系車両を運転し、本物でしか味わえない特別な時間を堪能した。

 同支社は昨年12月から、同センターを会場にした運転体験会を不定期開催している。いずれも数日ずつ行い、4回目となった今月は最終4日目の10日を初めて、ふるさと納税の返礼品にした。同支社広報室は「JR東日本らしい返礼品と川越市の魅力を知ってもらう企画を検討し、提供が決まった」と説明する。

 運転体験会は毎回、募集を始めて数分で完売するほどの超人気企画だ。今月分の通常商品は価格が1人税込み3万8千円だったが、ふるさと納税で申し込む場合は寄付額が13万円と高価。それでも、11月1日から受け付けると、同5日に定員が埋まった。

 参加者はオリエンテーション後、模擬の装置で電車の操作方法を練習した。続いて、センター内に止めてあるE233系車両に移動。運転士のアドバイスを聞きながら運転席の主幹制御器を操作すると、全長約200メートルの10両編成電車がゆっくりと動き出した。500メートルほどの区間を1往復ずつ走行。運転を終えると、車両を写真撮影したり、パンタグラフの昇降やブレーキの操作なども体験した。

 午前の部には、男性2人が参加した。ともに本物の電車を動かすのは人生初で、横浜市の眼科医木佐貫祐揮さん(32)は「振動が体に伝わり、たくさんのお客さんを乗せて運転するのはとても責任があることだと実感した」と興奮の面持ち。さいたま市西区の会社員渡辺響さん(23)は「こんな大きな車体がスイッチ一つで動くなんてすごい。ドアが開閉する仕組みなども分かった」と声を弾ませる。

 木佐貫さんは5年ほど前から、年末に各地のふるさと納税に寄付してきた。「物ではない返礼品を探していたので、ずっと興味を持っていた鉄道の体験ができて幸運だった」と喜ぶ。幼いころ、電車の先頭車両で運転席の様子を見るのが大好きだった渡辺さんは、初めてふるさと納税を利用。「イベントに参加できる返礼品もあるなんて知らなかった」と多彩さに驚く。

 ふるさと納税は10月から、自治体が寄付を募るための経費を寄付額の5割以下とする基準が厳格化された。趣旨から逸脱したような過度な返礼品競争を防ぐ狙いだ。各自治体はこれまで以上に、返礼品の工夫が求められる。

 市財政課は「はやばやと定員になり、とてもありがたいこと。今後も市内にあるハードを生かしながら、川越をアピールできる返礼品を考えていきたい」と、ふるさと納税を来訪のきっかけづくりにもつなげる方針。運転体験会に参加した木佐貫さんは市内を過去1、2回訪れたことがあるが、「今度ゆっくりと探索してみたい。今日は帰りに市街地でランチをするつもり」と話し、会場を後にした。
 

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