埼玉新聞

 

「とても助かる」病院に停留所、要望多くルートに追加 熊谷のコミュニティーバス、新規路線が本格運行

  • 関東脳神経外科病院に停車するくまぴあ号

 熊谷市のコミュニティーバス、ゆうゆうバスの新規路線「くまぴあ号」の運行が今月から始まった。昨年9~12月の試験運行の結果を踏まえ、ルートに関東脳神経外科病院(熊谷市代1120)を追加するなど変更した上での本格運行。団塊世代(1947~49年生まれ)が75歳に達する2025年を間近にした今、高齢者の移動手段の確保は熊谷市のみならず、各自治体が抱える喫緊の課題となっている。

 くまぴあ号は、熊谷駅東口から籠原駅北口の交通不便地域を運行するコミュニティーバス。熊谷市スポーツ・文化村「くまぴあ」などを経由し、時間帯によって異なるが両駅間を1時間かからずに結ぶ。他路線のゆうゆうバスと同様、乗車運賃は100円だ。

 同市が試験運行バスの乗客を対象に行った調査によると、最も多い利用者は60~70代で61%。80代以上を加えると、60歳以上の利用が8割を超える結果となった。利用目的では「通院」が最も多く35%。「買い物」の34%が続いた。

 利用者からは、バス停に病院を加えてほしいとの要望が多く寄せられた。既存のコミュニティーバスの停留所がなかった関東脳神経外科病院をルートに組み入れるなどして、今回の本運行をスタートした。

 病院側でもバス路線のルートに入るのは大歓迎で、正面玄関前の乗降が安全にできるよう、車道スペースの拡幅工事を実施した。9割が自家用車での来院。高齢者の単身世帯が増えていく現状を考えると、玄関前にバス停があるメリットは大きい。

 同病院の新井隼人事務局長は「サイバーナイフを利用した放射線治療など、高い技術を求めて遠方からも(患者さんが)いらっしゃる。バス停ができるのはありがたい」と話す。

 市企画課によると、コロナ禍の今年は昨年の試験運行より乗客が減少傾向にある。走っているバスやバス停には広告効果もあるため、今後の利用者増を見込んでいるという。担当する同課の西村文男さんは「試験運行の調査では、運転免許を自主返納した利用者が23%だった。運転免許を持っていてもバスを使ってくれる利用者が34%。運転免許の返納という形に現れなくても、自分で運転できない、または運転を避けたいという人が一定数いるのではないか」と需要を分析する。

 病院玄関に停留所を見つけた80代の女性は「バス停ができたのはとても助かる。時間が合うようなら、これからは利用したい」と時刻表を確認していた。

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