埼玉新聞

 

国際Dシネマ映画祭が閉幕 オンラインで初開催、国際と国内の両部門で9賞の授賞式 グランプリは「願い」

  • コロナ禍の中で受賞者もオンライン参加が多かった中で、出席できた受賞者たち。後列左から3人目に大野元裕知事、奥ノ木信夫市長(右隣)ら=4日、川口市のSKIPシティ

 新型コロナウイルス感染拡大のため初めてオンライン開催となった「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020」が4日、国際と国内の両部門で9賞の授賞式を行い閉幕した。国際コンペティショングランプリはノルウェー・スウェーデン合作でノルウェーのマリア・セーダル監督の「願い」に贈られた。

 セーダル監督は8年前に末期がんを宣告されてから9年ぶりの第2作。事実婚で6人の子に囲まれ、欧州で暮らす中年の夫婦。クリスマスイブに妻は末期の脳腫瘍の宣告を受ける。正月までの11日間、夫婦が直面した試練と希望を描いた。

 国際コンペの沢田正道審査委員長は「監督自身が主人公と寄り添って『生きる』ことを問いただしている」と高く評価し、審査員全員一致のグランプリが決まった。

 映画祭は実行委員会長を大野元裕埼玉県知事、副会長を奥ノ木信夫川口市長が務めた。今年で17回目。

 授賞式で大野知事は「映画祭はコロナ禍で新しい形の開催となったが、これまでの伝統、今まで紡いできた力を感じた。世界へ向けて人々の息吹を伝えられる映画祭を目指したい」と述べた。

 奥ノ木市長は「川口を全世界にアピールする映画祭を目指し、取り組んでいく」と決意を語った。

 このほかロシアのナタリア・ナザロワ監督の「ザ・ペンシル」が監督賞と審査員特別賞のダブル受賞。服役する政治犯の夫を追ってロシア北部の田舎に小学校教師としてやってきたアントニーナの物語。助けたのは「芸術の力」だった。

 国内コンペでは、長編では日本在住のインド人アンシェル・チョウハン監督の「コントラ」、短編で藤田直哉監督の「stay」がそれぞれ最優秀賞。

 観客の投票で決まる観客賞は、国際コンペでは、オーストラリアのベン・ローレンス監督の「南スーダンの闇と光」。国内コンペでは、長編は磯部鉄平監督の「コーンフレーク」、短編は朴正一監督の「ムイト・プラゼール」。磯部監督は3年連続ノミネートで3年連続受賞の快挙となった。

 国際、国内両分野の全日本作品を対象に可能性を感じる作品に贈られるSKIPシティアワードは、串田壮史監督の「写真の女」に決まった。

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