埼玉新聞

 

本当に頭にくる…田んぼの給水バルブの盗難、白岡などで相次ぐ 被害農家憤り、同じ場所で6月にも

  • 盗まれたものと同様のバルブと切断された塩化ビニル管を持つ吉田善一さん

 白岡市実ケ谷地域で田んぼに水をためるために使う給水バルブの盗難が6月から相次いでいる。地域の農家が組織する埜地落(やちおとし)揚水組合の吉田善一組合長(71)は久喜署に被害届を出し、「稲刈りが終わった頃を狙ったのか。本当に頭にくる」と憤っている。

 盗まれたのは、地下水を組み上げ、田んぼに流す鉄製の給水バルブ。9月20日~10月3日まで計13カ所が被害に遭った。今年6月にも同じ場所で盗まれ、新しいものに付け替えたばかり。バルブは一つ約7千円、工賃を含めると1カ所1万2千円ほどかかるという。

 吉田さんによると、周辺地域の被害を含め、これまでに延べ計31カ所で被害を確認しているという。6月に防犯灯を設置。見回りを増やすなど警戒していた。稲刈りが済み、田んぼに訪れる機会が減ったところで再び被害に遭った。

 バルブは塩化ビニル管の接続部分をのこぎりのようなもので切り取り、持ち去られていた。吉田さんは盗んだ者の動機に触れ「鉄くずとして売るにしてもいくらにもならないだろう」と首をかしげる。

 同地域に近い宮代町でも8月に被害を確認。町はホームページで、盗難防止を告知するとともに、農閑期にバルブを外したり、樹脂製のものに付け替えるなど、対策を呼び掛けている。県警も県内各地で20件の被害を確認。ポンプやバルブ、蛇口などさまざまな部位が被害に遭っているという。

 吉田さんは「これだけの被害は初めて。水がなくちゃ稲はできない。コロナの影響でお金に困っている人が犯行に及んだのかもしれない」と嘆いた。

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