埼玉新聞

 

<川口いじめ訴訟>市に賠償命じる判決 地裁「適切な手続き踏まず」 元生徒側「義務違反認めた」

  • 判決後、会見する森田志歩さん(右)と荒生祐樹弁護士=14日、さいたま市浦和区

 川口市立中学校でいじめを受けた男子元生徒(18)が第三者委員会の調査内容を情報公開請求した際、市が当初、不開示にしたなどは違法として、市に100万円の賠償を求めた訴訟の判決が14日、さいたま地裁であった。倉沢守春裁判長は「訂正決定を不訂正決定に変えた際に適切な手続きを踏まえなかった」などと、市に2万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決などによると、元生徒は2015年に入学後、所属するサッカー部で部員からいじめを受けて不登校になり、第三者委の調査でいじめと認定された。その後、いじめの記録の開示を請求したが、第三者委の文書などが開示されなかったため昨年1月に提訴。同年5月に市が開示したため不開示の取り消し請求は取り下げたが、開示決定しながら届かなかったり、一度は訂正の決定をしながら約半年後に取り消すなどした対応を違法と訴えていた。

 判決理由で倉沢裁判長は「開示・不開示を決める過程で過失があったり、訂正決定を取り消した際に十分な説明がなかったなど、適切十分な手続きを踏まなかった」として市の過失を認めた。

 元生徒側の荒生祐樹弁護士は判決について「国賠法上の違法と、川口市教委の職員による義務違反が認められた。画期的で意義のある判決だと思う」。母親の森田志歩さんは「市の違法性を認める判決で、満足している。また、子どもを教育する立場の教育委員会の責任を取ってほしい」と話した。

 川口市は「判決文を精査した上で対応を考える」とコメントを出した。

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