参院埼玉選挙区の展望、4議席巡り混戦 立憲、国民、共産の各新人が準備 2議席は野党の争いか
今年夏の参院選は2017年の衆院選後、初の大型国政選挙となる。消費税増税や憲法改正の是非が主な争点となりそうで、安倍首相の政権運営が有権者の審判を受ける。公職選挙法の改正により、埼玉選挙区は1議席増えて4議席となる。自民、公明両党の各現職に、立憲民主、国民民主、共産党の各新人が出馬に向けて準備を進めている。希望の党の現職は態度を明らかにしていないが、4議席を巡って混戦が予想される。
過去3回の参院選埼玉選挙区をみると、自民、旧民進(旧民主)、公明を中心とした議席争いが続いている。自民と公明はいずれも計約125万~約160万票を獲得し、2議席を得ている。今回も手堅く2議席を狙う方針で、残りの2議席を野党が争う構図になりそうだ。旧民進(旧民主)は10、16年、旧みんなの党は13年に議席を確保している。
自民は現職古川俊治氏(55)の3選に向け、態勢を整えている。古川氏は13年に100万票を獲得して大勝しているが、陣営は「当時と政治情勢が異なる」とし、楽観論を戒める。議席増に伴い、古川氏以外にも自民独自に候補者を擁立するかが注目されるが、県連の新藤義孝会長(衆院埼玉2区)は「検討してない。自公で現状の2議席の勝利を目指す」と強調。県連の鈴木聖二幹事長(県議)も「2人立てると必ず亀裂が入る。わだかまりが残る選挙は失策につながる」と慎重な構えだ。
公明も現職矢倉克夫氏(43)の再選に全力を注ぐ。自公協力により、13、16年と同様に自民から推薦を受ける。県本部の西田実仁代表(参院埼玉選挙区)は「今年は統一地方選と参院選が行われる12年に1度の年。非常に厳しい選挙になるが、まずは統一地方選で完全勝利し、その勢いで参院選に臨む。自公で必ずや2議席を取る」と意気込む。
希望の現職行田邦子氏(53)は07年に旧民主、13年に旧みんな公認で出馬し、当選。去就が注目されており、近く態度を明らかにする。
立憲民主は、さいたま市議の新人熊谷裕人氏(56)を擁立。昨年1月の党県連設立時から幹事長を任されるなど、党代表も務める枝野幸男氏(衆院埼玉5区)を側近として支えてきた。同9月の党大会では「必勝区」の候補予定者として紹介され、枝野代表は「私の地元で立憲が何を目指し、どういう活動をしていくのか、分かっている人なので、最も適切だと判断した」と、お膝元での必勝を期す。
国民民主は昨年12月、新人宍戸千絵氏(41)の公認を決めた。17年の衆院選に旧希望の公認で東京11区から出馬した経験がある。人選に当たっては県議ら7人と面接を実施。県連の大野元裕代表(参院埼玉選挙区)は「4議席の選挙区で、(候補者の)特徴が出せるかどうかを総合的に判断した」と説明し、女性らへの支持浸透を描く。2月の県連パーティーで支援者に披露し、足場固めを急ぐ。
両新人とも知名度が不足しており、立民県連の高木錬太郎幹事長(衆院比例北関東)は「統一地方選でしっかり結果を出して参院選を迎えたい。相乗効果で必勝を期す」と話す。国民県連の大野代表は「党の所帯が小さくなっているので、地域を選択、集中して活動したい」としている。
共産は新人伊藤岳氏(58)を4回続けて擁立。県委員会は「3議席の中で2議席を野党が占めるのは難しかったが、(今回は)野党で3人取りたい」と与党議席の取り崩しを視野に入れ、会員制交流サイト(SNS)なども活用して無党派層への浸透を図っている。16年に獲得した約48万票から20万票以上の上積みを目指す。
社民党は野党共闘の調整状況を見ながら候補者擁立を検討している。
■立候補予定者
▽埼玉(四-6)
〈改選数1増〉
古川俊治 55 元財金委員長 自現
矢倉克夫 43 元農水政務官 公現
(自推)
熊谷裕人 56 さいたま市議 立新
宍戸千絵 41 元経産省職員 国新
伊藤 岳 58 党県常任委員 共新
行田邦子 53 党幹事長 希現