25年以降にバス自動運転化へ 運転手が乗車し、公道で自動運転バスの実証実験スタート 深谷市で13キロのコース、新1万円札の記念行事 観光・商業施設が集積する北部エリア、回るバスなく挑戦へ
深谷市は12日から公共交通の自動運転技術の導入を目指し、公道で自動運転バスの実証実験を始めた。19日まで運転手が乗車し危険を感じたら手動になる「レベル2」で走行する。一般や関係者ら約510人が試乗する予定。運転手不足の解消も念頭に課題の洗い出しを進め、2025年以降で想定する市北部を走るコミュニティーバス「くるリン」の自動運転化を目指す。
運行主体は、市、バスの自動運転の研究を進める地元の埼玉工業大学やバス会社などで組織する「深谷自動運転実装コンソーシアム」。自動運転バスは埼工大が研究開発した車両を使用。昨年10月、東京都・西新宿エリアで行われた自動運転のバス運行に、車両を提供している。
実証実験は同市出身の渋沢栄一が夏発行の新1万円札の肖像になることを受けた記念行事として取り組む。コースは約13キロで、同市下手計の渋沢栄一記念館を出発し、旧渋沢邸「中の家(なかんち)」や旧煉瓦(れんが)製造施設、尾高惇忠生家を回り、同記念館に戻る。定員約300人に対し、約500人から応募があったという。
同市には栄一に関連する施設など観光・商業施設が集積する北部地域を回る路線バスがない。運転手不足や高齢化なども進む。同市では課題解消へ産官学で国内外で研究が進む自動運転の導入に向けた取り組みを推進している。将来的には場所を限定し運転手なしで自動運転するレベル4を目指していく。
出発式で小島進市長は「公共バスの充実につながり、過疎地高齢者の足の確保にも期待できる。モデルケースを発信したい」と力を込めた。埼工大の内山俊一学長も「地元深谷市の活性化に役立ちたい」と連携を約束した。
実証実験の第1便には、事前に同バス開発責任者の渡部大志教授から仕組みや車両の構造などを学んだ、同記念館近くの市立八基小学校の6年生12人が乗車した。津秋奏音(かなと)さんは「人が運転しているようで、自動運転とは思えない」、中島大智さんも「思っていたより乗り心地がよかった」と話した。