埼玉新聞

 

<川口いじめ訴訟>市に2万円賠償の判決確定 市、元生徒とも控訴せず 市「裁判の早期解決図るため」

  • さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 川口市立中学校でいじめを受けた元男子生徒(18)=県立高校3年生=が情報開示請求に対する市の対応が違法だとして文書開示や一部文書の内容訂正などを市に求めた訴訟で、市に2万円の損害賠償を命じたさいたま地裁(倉沢守春裁判長)の判決が29日、元生徒、市の双方とも控訴しなかったことにより確定した。

 この日、裁判所から代理人弁護士を通して「判決確定証明書」を受け取った元生徒の母親、森田志歩さんは「市教委は教育行政でありながら違法や義務違反があり、生徒に精神的損害を与えたという判決が下されたことを真摯(しんし)に受け止め、教育者として正しい姿勢を示していただきたい」と語った。

 市は29日、判決の確定を受け「市としては、裁判を長期化させることよりも、裁判の早期解決を図るため、控訴は致しませんでした」などとコメントを発表した。

 倉沢守春裁判長は14日の判決で「市教委には個別具体的に開示・不開示情報を特定する職務上の義務があったのに、これを怠った」などと指摘し、市の過失を認めていた。

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