「埼玉アグリスターズ」発足、女子野球の新球団 今季からヴィーナスリーグ2部に参戦 さいたま拠点、選手ら農業も従事 初代監督はBCリーグ埼玉武蔵でプレーした奈良雄飛氏
さいたま市と川越市を活動拠点とする女子野球の新球団「埼玉アグリスターズ」が10日に発足した。選手12人で構成されるチームは、今季から関東女子硬式野球連盟(ヴィーナスリーグ)2部に参戦する。球団運営責任者の小林康大さん(31)は「社会課題である農業に貢献しつつ、3年で野球の実績を作りたい」と、野球と農業という手がける二つの事業で可能性を広げる。
同球団のオーナーは栃木県で農業を営む個人事業主。女子野球界と農業界で輝ける存在になるという思いを込めて「アグリカルチャー(農業)」と「スター(星)」を組み合わせたチーム名が付けられた。
選手たちは野球を中心に、さいたま市を拠点に農業に従事する。収穫した野菜をマルシェで販売するなどして地元農作物の魅力発信などを行う予定だ。主将の甲斐田陽菜(24)は「農業の収益が野球につながる。野球が毎日できる喜びをかみしめて一生懸命取り組む」と覚悟をにじませた。
チームは昨年12月に2度のトライアウトを行い、18~25歳までの選手12人が顔をそろえた。初代監督には2016、17年にBCリーグの埼玉武蔵でプレーした狭山市出身の奈良雄飛氏(33)が就任。奈良監督は「発展している女子野球界に自分の経験を生かしたい」と決意を語った。
今季から参戦するヴィーナスリーグは2部制で、12都県の中学から社会人まで各カテゴリーのクラブチームなどが参加する。1部には埼玉西武レディースなど11チームが参戦し、2部は例年約10チームで争われる。
2部リーグ戦で上位進出すれば1部昇格が推薦される。甲斐田は「ポテンシャルが高い選手がそろった。実現可能な目標として全勝優勝を掲げている」と気合十分だ。
地元に愛される球団を目指して28日、同チームのスポンサーを務めるさいたま市大宮区の「野球食堂グランドスラム」で第1回ファンイベントを開催した。横浜市から参加した山岸健太さん(43)は「奈良選手時代しか知らないが、監督として何を表現するか楽しみ」と指揮官への期待を口にした。
女子野球の競技者数は右肩上がりだ。全日本女子野球連盟によると、硬式野球の女子競技者は15年の1519人から23年には2937人に増加した。球団運営責任者の小林さんは「野球を続けられる環境をつくり、選手の受け皿となる球団を目指したい」と女子野球の発展に尽力する。