紛糾…公園でクルド人イベント開催、「公園を貸すな」と電話相次ぐ 主催者の支援団体、次回開催の相談をするも…県が公園使用を認めず「安全を担保できない」 抗議すると条件付きで認める「正式な申請前の打診で門前払い」
在日クルド人らが新年を祝う祭り「ネウロズ」の開催を巡り、主催の日本クルド文化協会の支援団体は23日までに、会場として昨年使用した秋ケ瀬公園(埼玉県さいたま市桜区)を管理する県公園緑地協会などが使用を当初認めず、条件付きの開催を認められたと明らかにした。県側は申請者ではない支援団体の相談であり、申請が行われたものではないとしている。
支援団体によると、団体が1月4日に公園緑地協会に開催を打診したところ、公園側は「クルド人に公園を貸すな」というメールや電話が相次いだことを理由に、「反対された人から危害を加えられた場合に、参加者らの安全を担保できない」として使用を認めない方針を13日に伝えた。団体が表現の自由などの侵害に当たると文書で抗議すると、公園側は19日に「音楽と音を禁止する」ことを条件に認めると口頭で伝えたという。
支援団体は23日、緑地協会や県公園スタジアム課員らと対面で協議。同席した公園職員は「音楽と音」について「楽器演奏のことを指していて、音を出すことは問題ない」と、改めて条件付きでの開催を認めた。当初の開催を認めない方針については「よく調べずに回答した」として謝罪したという。
大野元裕知事は23日の定例会見で、「1月4日に支援団体を名乗る方から、今年の開催について相談があったと聞いている。指定管理者としては条例や規則に基づいて、仮に申請がある場合には適切に対応するものと考えている。現時点では申請がなされていないので、許可や不許可について具体的な判断をすることはない」との見方を示し、「申請団体が分からないのに、支援団体を名乗る方が現れたら、一般論でお答えするしかない。何らかのイベントを行うことによって安全が脅かされることがあるとすれば、私どもとしては開催できないということになるが、それは窮迫の度合いによる」と見解を述べた。
支援団体の男性は埼玉新聞の取材に公園側の判断を「公的な権限を持っている機関が規則に基づかず、あやふやで恣意(しい)的基準で方針を決定することはおかしい。多文化共生を掲げているにもかかわらず、クルドの方々の文化を否定した格好。行政として共生社会への気構えが定まっていないことが問題ではないか」と訴えた。
また、「正式な申請をする前の打診で門前払いをされている。それなのに正式に申請していないと言われ、困惑している」と今後、正式に使用申請を提出する考えを示した。