断念…再選を果たした市長公約フルマラソン大会、開催できず すでにコース調査費など支出 市の親善大使だったプロランナー川内優輝さんも批判していた…何があった
久喜市の梅田修一市長は29日、2期目の公約として掲げ2025年度以降に予定していたフルマラソン大会を開催しないことを市議会全員協議会で公表した。コースを設定するための安全確保や経費などが課題に挙がり、市の親善大使でプロランナー川内優輝さんが、交流サイト(SNS)を通じて開催を批判するメッセージを寄せていた。現在開催しているハーフマラソンを含む大会はこれまで通り開催する。
梅田市長は22年4月の市長選で、市内でフルマラソン大会を開催することを公約の一つに掲げ再選を果たした。
市は22年度、コース調査費など約44万円を支出した。市総合運動公園をスタート地点、鷲宮神社などをポイントに県が管理する久喜菖蒲公園をゴールとするフルマラソンのコース案を検討。当初、5千人が参加し、経費は1億1千万円と試算していた。24年度開催を予定していたプレイベント、25年度以降の本大会実施に向け、本年度774万4千円を予算に計上するなど準備を進めてきた。
市によると、昨年12月に県警とフルマラソン大会の開催について協議したところ、交通規制に伴う迂回(うかい)路の設置や有償警備員の配置などについて指摘があったという。加えて参加者数の減少と大幅な経費増が見込まれ、また川内選手や議会から大会開催を不安視する声が上がり、市民の協力、ボランティアの確保が難しくなった。
市は警察から受けた指摘をきっかけに、次年度の当初予算に向け検討を進める中で撤退を決めた。プレイベントは開催せず、本年度は実際にかかった諸経費のみ支払う方針。
梅田市長は「私の目指すフルマラソン大会が、賛成や反対などさまざまな意見で市を二分する事態になることは本意ではない。苦渋の決断であるが、現在進めているフルマラソン大会は行わないことを決定した」と述べた。
市は毎年3月、ハーフマラソンを中心とした「よろこびのまち久喜マラソン大会」を開催している。今年は参加者募集の締め切りを12月から1月に延長したものの、定員5200人を大幅に下回る3280人だった。