両親は交際に大反対…「店を継げば」と料理の道へ 婿入り認められた2代目、守る看板メニューは義父の味
中華だいにんぐ福禄寿らいか(坂戸)
東武東上線坂戸駅に近い「中華だいにんぐ福禄寿らいか」。1949年の創業以来75年となる店を守るのは、2代目の岡部晃義さん(68)、紀美子さん(70)夫妻だ。
紀美子さんの両親が始めた老舗には、古くからの看板メニューがある。漢字表記の旧店名を冠した「来入華(らいか)そば」。しょうゆベースのスープに、たっぷり野菜の五目あんをかけたラーメンだ。父の故政雄さんが、東京・銀座発祥の名店で食べた一品を基に考えた。晃義さんは「義父の味を引き継ごうと思って作っている」と言う。
ともに祖父が中国出身で、華僑の血を引く。出会いは晃義さんが高校2年生の17歳、紀美子さんが短大1年生の19歳だった時。山梨県都留市で晃義さんの両親が営む中華料理店の建て替え祝いで、華僑仲間が集まった席にいた紀美子さんに一目ぼれした。
「私の両親は交際に大反対だった」と紀美子さん。剣道に打ち込んでいた晃義さんだが、「店を継げば許してくれるはず」と料理の道を選択。大阪の調理師専門学校を経て数カ所の中華料理店で6年ほど研さんを積み、晃義さん26歳、紀美子さん28歳の時に婿入りが認められた。間もなく政雄さんは引退し、81年ごろから店を任されている。
晃義さんは、修業時代に身に付けた湖南料理の味を生かしたメニューも出す。期間限定で提供する鶏肉の炒め物「麻辣童鶏(マーラートンチー)」など、5種の香辛料で作る「五香粉(ウーシャンフェン)」を利かせた辛みが特徴だ。「支えてもらった地元のお客さんに飽きられないように続けたい」と誓った。
【主な人気メニュー】来入華そば(税込み950円)、静岡県産桜エビを使ったらいか干しえび塩らーめん(同850円)など。麺以外では麻辣童鶏(同1200円)、肩ロース肉の柔らかさを引き出した酢豚「古老肉(クーロール)」(同1100円)、麻婆(マーボー)豆腐(同1000円)が人気。
【メモ】中華だいにんぐ福禄寿らいか 坂戸市日の出町2の12(電話049・281・0164)。営業時間は水、木曜が午後5時30分~同10時、金、土、日曜は午前11時30分~午後2時、午後5時30分~同10時。定休日は月、火曜。東武東上線、越生線坂戸駅北口から徒歩約5分。